都立城東vs東京
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城東が、序盤の鮮やかな攻撃で東京を下してベスト16
城東・藤森晴久君
1回戦で、シード校の東亜学園を下して進出してきた東京。その力は、ある程度は高いと評価されていいであろう。対する都立城東も、一次予選の初戦で日大豊山に競り勝ち、代表決定戦でも実践学園という難敵にコールド勝ちしてきた。1999年と2001年の甲子園出場以来、伝統といってもいい打線は、この秋のチームもある程度は自信を持っているといっていいのではないだろうか。
序盤の都立城東打線は、そんなことを十分に匂わせるような逞しさだった。
初回、都立城東は1番投手の藤森が安打で出て勢いづける。一死一塁となった後、金田の右前打で一、三塁として、すかさず盗塁で二、三塁とする。ここで4番茂木はスクイズを決めて先制点。さらに5番佐久間が中越え二塁打して2点目を追加した。
3回にも都立城東は、一死後2番渡邊が二塁打で出ると、続く金田が左前打で一、三塁として、その後盗塁で初回と同じような場面を作る。そこで、今度は茂木が右犠飛を放って追加点を挙げる。さらに佐久間も中前打で4点目を追加した。ここまでの都立城東打線は、積極的に振って行っていて、「甘い球は見逃さないぞ」という気迫は十分だった。
その裏に、東京も二死二塁から3番中武の右翼線二塁打で1点を返すものの、そこまでだった。
都立城東は、藤森が5回まで投げると、6回からは北がリリーフ。北は6、7回を3人で退けるなど好リリーフだった。9回こそ、先頭に四球を与えて、二死一、三塁という状況にもなったが、そこもしっかりと打たせて取った。
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東京・河瀬康太君
内田稔監督は、「半分は不安で、いつ代えようかという思いでも送り出したリリーフでしたが、よく投げてくれました」と、北の好リリーフを評価していた。序盤のアグレッシブルな攻めに対しては、「思い切って振って行けという指示だけ出していた」というが、選手たちがそれに十分に対応したということであろう。5番に入っている主将の佐久間は3安打で2打点。4番打者がスクイズと犠飛で加点した後に、さらにきっちりとタイムリー打を放って行ったのは大きかった。
「性格も明るくて、このチームの象徴的存在」とも言われている佐久間主将。
佐久間自身は、「前の試合では、ことごとくチャンスで自分が打てなくてチャンスを潰していました。それが悔しかったので、今日は何とかしたかった。1週間、変化球について行けるように練習してきた成果もあった」と、満面の笑みで喜んでいた。この、佐久間が明るく引っ張っていく都立城東は、2001年に内田監督が4番打者として夏の甲子園の舞台を踏んだチームに、どことなく雰囲気も似てきているようでもある。
終始試合の主導権を奪われて、ついぞ自分たちの流れへ持ってこられなかった東京。松下浩志監督は、「相手の打者か上回っていて、甘い球はことごとく捉えられたということでしょうか」と、残念がっていた。多摩川の河川敷のグラウンドは、この夏は長雨もあって、なかなか使用できず、練習試合も予定していた3分の1以上が流れてしまったという。それだけに、実戦経験不足という現実も否めなかったようだ。それだけに、「出来る限り実戦を積んで、春までに備えていきたいと思う」と、まずは選手たちに試合経験を積ませていきたいという思いでもあった。来春以降の飛躍を期待したいところである。
(記事=手束 仁)
ヘッドスライディングで帰塁する城東・藤森君
城東・佐久間飛向君
元気のいい東京ベンチ