試合レポート

京都国際vs京都外大西

2021.07.28

京都国際が春夏連続の甲子園出場切符を掴む

 春夏連続の甲子園出場を目指す京都国際と11年ぶりの甲子園出場を狙う京都外大西による決勝戦。京都国際が接戦を制し、夏の甲子園初出場を決めた。

 京都国際は準決勝に続いて右のエース・平野 順大(2年)が先発。準決勝ではワンアウトしか奪えずに降板したが、この日は三者凡退と上々の立ち上がりを見せる。

 京都外大西は、こちらも準決勝で先発した背番号10の左腕・星野 烈志(3年)。強打の京都国際打線に対して丁寧にコースを突くが、惜しくもボールになる投球が続く。3つの四球から二死満塁のピンチを招くと、6番・平野にも四球を与え、押し出しで先取点を奪われてしまった。これ以上の失点を避けたい京都外大西は星野烈に代えて、エースのワトリー・ジャイヤー・イシメール(3年)をマウンドに送る。ワトリーは続くピンチを一塁ゴロに打ち取り、何とか1失点で凌ぐ。

 すると、2回表に京都外大西打線が繋がる。四球と2本の安打で一死満塁のチャンスを作ると、8番・花井 慧汰(3年)の左前適時打で同点に追いつくと、続くワトリーもスクイズを決めて、逆転に成功した。逆転を許し、なおも一死満塁の場面で京都国際はエースの森下瑠大(2年)がマウンドに上がり、平野はライトに回った。

 追加点が欲しい京都外大西は1番・中村 友哉(2年)が押し出し四球を選ぶと、2番・西村 瑠伊斗(2年)の中犠飛で追加点を挙げ、リードを3点に広げた。

 このまま流れに乗りたい京都外大西だったが、ワトリーがピリッとしない。「決勝の独特な雰囲気で自分の力を出し切れなかった。相手と勝負する前に自分に負けた」と制球に苦しんだ。2回裏には一死満塁から3番・植西 龍雅(3年)の中犠飛、3回裏に二死一、三塁から1番・武田 侑大(2年)の左前適時打で、それぞれ1点ずつ返され、3回を終えたところでマウンドを降りた。

 4回裏からは最速144キロ右腕の西村が登板。京都国際は先頭の3番・植西が内野安打で出塁すると、4番・中川 勇斗(3年)が甘く入ったストレートを捉え、打った瞬間にわかるレフトへの2ラン本塁打で逆転に成功した。「ホームランによって流れも変わりましたし、チームにとっても大きな一本だったと思います」(中川)と試合の流れを大きく変える一打となった。

 京都国際は5回裏にも武田のソロ本塁打で1点を追加。森下も3回以降は快調なピッチングを見せ、このまま順当に京都国際が勝利を収めると思われた。


 しかし、9回表に京都外大西が意地を見せる。先頭の6番・谷口 翔大(3年)がライトへの二塁打で出塁すると、7番・大兼 政鴻介(3年)が四球を選び、無死一、二塁とする。続く花井も三塁線に絶妙な犠打を決め、一死二、三塁と一打同点のチャンスを作る。

 ここで京都外大西は代打の切り札である山田 昌幸(3年)を起用。京都国際にとっては逆転サヨナラ負けを喫したセンバツの東海大菅生戦が頭をよぎる展開となった。この時は死球を恐れて内角を攻めきれず、外中心となった配球となったところを狙い撃ちされていたが、「前と同じことをしていたら甲子園で勝てないので、最後は気持ちでインコースを攻めました」と森下が快心の投球を見せる。

 山田を低めのボールで見逃し三振に打ち取ると、最後は中村に対して全球内角のストレートで勝負を挑み、三塁ゴロで最後のアウトを奪った。

 「こういう苦戦も覚悟していましたが、こういうところで攻める姿勢を忘れないというセンバツで学んだことを実践してくれたと思います」と選手たちを讃えた京都国際の小牧 憲継監督。センバツでの経験がチームをより強くさせ、春夏連続出場に繋げてみせた。ストレートの威力が増した森下を中心に、春から実力は大幅アップしており、1勝に終わった春以上の結果が期待できる。勢いに乗る新鋭校が甲子園で旋風を巻き起こすか。

 京都外大西は惜しくも甲子園に届かなかったが、ノーシードから強豪を次々と倒して、最後も春の優勝候補をあと一歩まで追いつめた。2010年夏を最後に甲子園出場から遠ざかっており、低迷していた時期もあったが、強豪復権の機運は確実に高まっている。

 新チームでは投打の中心選手として期待される西村は、「自分が点を取られて負けて、3年生に申し訳ない。(京都)国際を倒さないと甲子園に行けないと思うので、自分たちの代でリベンジしたいです」と意気込んでいた。この悔しさが西村をどう成長させていくかにも注目していきたい。

(文:馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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