芝浦工大高vs巣鴨
2時間25分の雷雨での中断にも集中を切らさず芝工大附が快勝
芝浦工大附は初回、死四球と三番林君の二塁打や長尾君、山下君の連打などで5点を奪う。ところが、初回の攻防を終えて、芝工大附が5点をリードしたところで雷雨に見舞われ中断となった。途中、土砂降りにもなって、「果たして、その後試合は出来るのだろうか」というくらいの水浸し状態になったグラウンドだったが、雨が止んで都高野連の役員の人たちや補助の生徒たちが頑張って、1時間程度で水抜きや砂入れなどの整備で試合再開となった。中断時間は2時間25分だった。
再開後は、流れが変わることがよくあるのだが、芝工大附は2回こそ三者凡退だったが、3回には打者13人、7番後藤君の二塁打や9番三輪君のタイムリーに四球や相手失策もあって、打者一巡してもまだ無死という状況で、とどめに赤池君が左越二塁打して9者連続得点となった。
芝工大附は好球必打というか、積極的に打って行く姿勢が功を奏した。そして、ビックリしたのは5回の守り。左腕投手の一柳君が捕手となり、捕手の佐久間君がマウンドに立った。古川誠監督は、「苦肉の策というか、元々、佐久間は投手だったのを捕手にしたので、バッテリーで入れ替えたら守りの移動はないのでそれでいいかなと言うところでした。それに、たまたまですけれども、左用の捕手ミットも部にありました。これも、部員数が少ないのでブルペン捕手としては左利きの選手が務めることがあるものですから用意していました」ということであった。
5回、二死一塁から、開き直った巣鴨に2本の二塁打が出て4点が入ったものの、最後は捕邪飛で一柳君が左用のミットで捕球してゲームセットとなった。
芝工大附はかつては芝浦工大高校と言っていたが、5年前に江東区豊洲に移転したのを機に現校名にしたという。ただ、かつては荒川河川敷に保有していた専用球場を手放し、現在では狭い校庭での練習が主だという。部員数も決して多くはなく、今年も全員で13人という陣容だ。就任4年目となる古川監督は、「このところは、毎年これくらいの少人数でやっていますけれど、そういう条件の中で工夫しながらやっている」という。それでも、チームとしては逞しいなという印象を与えてくれた。個々の練習はそれぞれでしっかり積んできているなということの証でもあろう。
2時間25分の中断に関しては、主将の林君は、「去年も、雨の中断があってその後に負けています。だから、その反省に立って集中を切らせないようにしましたが、昼食も摂ってリラックスもしました。そして、再開した最初の守りでは『3人で終わらせようぜ』と、みんなで声を掛け合いました」と、意識は途切らせていなかったことを強調していた。
近年、東京新御三家として進学校としての評価も高い巣鴨。結果的には、コールドゲームということになってしまったが、5回に反撃して4点を奪ったのは見事だった。また、この日は付属中学の生徒たちが、「高校野球を見て何を得るのか」というテーマで何人かが、応援観戦に来ていた。試合後にはレポートとして提出するということだが、5回の二死からの反撃に何を感じたのか…、ちょっと読んでみたい気もした。
文=手束 仁
2019年 第101回全国高等学校野球選手権大会東東京大会
■開催期間:2019年7月7~7月27日(予定)
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