日大二vs東京実
日大二が順調な仕上がりぶりを示して東京実に連勝
角度のある変化球を駆使して好投した日大二・大野君
昨夜来の雨が、朝7時頃くらいまで残ったものの、日大二の選手たちの入念な水抜きとグラウンド整備によって、ほぼ予定していた時間通りに始められた。当初の予定では、この日は長野県の丸子修学館も組まれていたのだが、長野県からの遠征は新型コロナの感染防止ということで中止になって見送られてしまった。結局、東京実とのダブルという形になった。
1試合目は、お互いに現時点でのほぼベストメンバーに近い形での試合となった。
ただ、日大二としては、田中吉樹監督が「投手陣はまだ整いきっていないので、これから大会までの間に最後の判断をしていきたい」ということで、2試合を通じて可能性のある投手を試していくということになった。そんな中で、最初に先発したのは、春は18番をつけてベンチ入りしていた2年生の大野君だった。188センチ83キロという高さがあるので、左腕からのカーブは大きくドローンとした形で曲がって来る。腕も長いので、初めての打者としてはやや戸惑うのではないかという印象でもあった。
大野君は6イニングを投げて2失点。まずまずの合格点と言っていいのではないであろうか。3回に失策絡みで先制されたが、打線も4回に一死一三塁から主将の湯江君の中前打で同点とし、さらに失策で逆転。そして5回には自身のタイムリー打も含めて、2番宮本君の中越三塁打などで大量6点が入った。試合の流れとしては余裕が出てきたということもあったかもしれない。責任投球は十分に出来たと言っていいであろう。ただ、大野君はテンポというか間合が長く、守備陣としても、もう一つリズムに乗りにくいのではないかなという印象はあった。このあたりは、先へ向けての課題かもしれない。
そして、田中監督が、「3年生でもあり、1番を与えたい」という佐藤匠君が7回のマウンドを務めた。1番の北村君に出合い頭的な感じて右越ソロを浴びたものの、他の3人はすべて三振で仕留めてしっかりと調整出来ているところを示した。こうして、7点差がついていたので日大二がコールドゲームという形になった。
東京実・十鳥真乙君
2試合目では、大会では二ケタ背番号ながらベンチ入りしそうな選手たちがメインとなった形でのスタメンだったが、引き締まった展開となった。東京実は北村君が3回を投げ阿部君、西田君と繋いでいって6回までで2失点。さらに西田君、小川君、高梨君と繋いでいった。
日大二は、春季大会では11番をつけていた村瀬君が7回を投げて十鳥君のソロホーマーのみの1失点。田中監督の期待に応えた。その後は、春に1番をつけていた2年生の小林君と、右サイドの平岡君が1イニングずつを投げてしっかりとまとめた。
東京実では、春季大会の登録では182センチ99キロの4番十鳥君に注目していたが、この日は1試合目では、いい当たりの中直打球もあったけれども無安打。2試合目も4番を任され、2打席目の4回に94メートルの右翼フェンスを裕に超えていく本塁打を放って、その潜在能力は示してくれた。しかし、他は併殺打と2三振。山下秀徳監督も、「なんだか力んじゃって、振り回しているんだよね。もっと楽に打てばいいんだけれどもね」と、いささかムラのある部分を気にしていた。それでも、「本人は、とにかく上(大学or社会人)でやりたい子なので、そういう(スカウトをしている)人たちの目に留まって貰えればいいんですけれども…。当たったら打球の飛距離はありますからね」と、その将来性への期待は高い。
結局、この日の2試合は、「まだ、これから調整していかなくてはいけない」と田中監督は言うものの、日大二はいい感じで夏へ向かっているのではないかという印象だった。捕手の岩田君は、牽制で3度走者を刺すなど、強肩ぶりを示していたが、リード感の良さと算段を任されている打撃も右左へと打ち分けられるセンスも持っている。この日も、そんな片鱗を示していた。
(記事:手束 仁)