東海大相模vs至学館
至学館、ベンチ入り20人を起用!夏へ向けて収穫のある一戦に!
カットボールを投げる石川 大翔(至学館)
センバツ優勝の東海大相模。昨秋、愛知県大会ベスト4に入った4校と招待試合を行う。東海大相模と戦えることは、いろいろな収穫を得られる勉強の機会として臨んでいた。昨秋3位で東海大会出場の至学館はベンチ入り20人全員が出場した。
まず至学館の先発は1年生の山本 航(東海中央ボーイズ)。麻王 義之監督によると、球速はなくても、投球センスを高い投手だと評価している。
山本は常時120キロ前半の速球、曲がりが大きいカーブで翻弄する技巧派左腕。実力としては突出したものではないが、この3年間で愛知を代表するコントロール型の左腕へ成長する可能性を持った逸材といえる。
初回に2点先制を許したが、1回裏、一死一、三塁から4番山岡 聖弥(3年)の犠飛で1点を返す。
山本は3回途中まで3失点の力投を見せ、降板。山本の投球に麻王監督は「落ち着いて投げる事ができたと思いますし、今後も戦力として期待できる内容でした」と高く評価していた。
2番手はややサイド気味の片山 昂誠(2年)が登板し、さらに左の技巧派・竹林 海翔(2年)は120キロ前半の直球、カーブ、スライダーを丁寧に投げ分け、東海大相模を凌ぐ。
そして5回裏、至学館らしい攻めで1点をもぎとる。一死一塁の場面で代走・加藤 匠翔(2年)が武井-小島のバッテリーから盗塁を成功させると、打席に立っていた3番手投手・竹林に代えて、矢澤 翔馬(3年)。矢澤が中超え適時三塁打を放ち、1点を返す。矢澤は代打の切り札として麻王監督が高く評価する打者で、愛知瀬戸ボーイズ時代は控えだったようだ。代打の切り札がしっかりと打てたことはポイントが高い。
代打で適時三塁打を放つ矢澤 翔馬(至学館)
6回表からエースの石川 大翔(つばさ)が登板。カットボール、ツーシーム、チェンジアップを駆使する最速135キロを誇る右の技巧派右腕。3月の健大高崎の練習試合では8回15奪三振、4月の横浜との練習試合では6回無失点の好投を見せている投手だ。石川は東海大相模打線を警戒して、110キロ前後のカットボール、チェンジアップ、ツーシーム中心の投球。ストレートはほとんど投げなかった。石川は「実際に抑えていても、他のチームと比べても、対応力が違いますので、ストレートを投げることに怖さを感じましたね」
結果としてストレートはほとんど投げず、ツーシーム、スライダー系で勝負を行った。8回に小島 大河に2点適時打を浴びたが、それでもハイレベルな東海大相模打線を対戦できたことに喜びを感じている様子だった。
9回表には最速144キロ右腕の古田 隆之助が登板し、1回無失点の好投を見せた。この日は135キロ前後だが、力のある速球は至学館投手陣の中でもずば抜けていた。
2対5の試合に、麻王監督は「投手のイニング回数、石川、古田が後半に登板するのも予定通りで、よく投げてくれたと思います。また東海大相模さんの走塁、ヒットエンドランを絡めた攻撃など勉強になることはたくさんありました」と試合を振り返った。門馬監督は至学館について「選手、それぞれの役割が明確になっていて、そして麻生監督がその選手たちの持ち味を引き出そうとしていて素晴らしい」と称賛した。
至学館の選手は中学時代、控え選手がほとんど。エースの石川に関しては畔柳 亨丞など好投手が多くいたSASUKEヤングの4番手投手だった。スカウティングも行っておらず、希望すれば、誰もプレーできるチーム。そういった選手の個性を見抜き、戦術多彩なチームを作り上げる至学館。夏に向けて麻王監督は「残り1ヶ月で打撃を仕上げていきます」と語るように、打撃面の強化を課題に掲げた。
石田隼都(東海大相模)
東海大相模は5対2で至学館に勝利。正捕手の小島大河が4打点の活躍を見せた。小島はバットコントロールもよく、さらにスローイングでは盗塁刺が1つ。そして5回裏には一死三塁のピンチからリードが大きい三塁走者を指すなど非常に視野の広さを感じさせる好捕手だ。
また投手陣の仕上がりも万全だ。
至学館戦に先発したのは武井京太郎(2年・浮羽ボーイズ出身)が好投を見せた。右腕のグラブを高々と掲げて、真っ向から振り下ろす左の本格派左腕。常時120キロ後半〜130キロ前半だが、球速表示以上に勢いを感じさせる。スライダー、チェンジアップを駆使し、1回、5回に失点したものの、それ以外のイニングは無難にまとめてゲームメイクすることができていた。
8回まで投げて、6奪三振、2失点、1四球、1死球ずつコントロールで乱すシーンはなく、しっかりと厳しいコースをついて投げることができていた。突出した球速はなくてもテンポが実によく、関東大会から着実に実績を重ねているので、夏でも十分活躍が期待できる投手ではないだろうか。東海大相模は速球投手は多いのだが、この安定感や角度のある直球は光るものがあった。
そして9回裏に登板したのは石田隼都。公式戦に限っては4月17日の平塚学園戦以来の登板となった。センバツ後、練習試合では5イニング1失点と、夏へ向けて仕上げている。常時135キロ前後(最速136キロ)だが、「球速表示以上に手応えのあるストレートは投げられたと思います」と本人が語るように回転数の高いストレートはやはり絶品だった。
夏ではワンランク上のコンビネーションを目指して日々の投球練習を行っている。13日は東邦、中京大中京との試合を控えているが、中京大中京戦で登板すれば、畔柳亨丞と投げ合う可能性はある。「その機会があれば嬉しいですし、負けたくない気持ちはあります」と意気込む。
ちなみに[stadium]岡崎市民球場[/stadium]で開催される13日の2試合はテレビ中継とYou Tubeでライブ配信がされる。
(記事:河嶋 宗一)