専大松戸vs習志野
17安打13得点で習志野下す!専大松戸の見せたセンバツからの成長
ホームランを放った専大松戸1番・石井 詠己
専大松戸と習志野。戦国千葉が代表する強豪同士の注目カードは、専大松戸が13対2の6回コールドで勝利する結果になった。
先制したのは習志野。専大松戸の先発・中舘 宙の制球が定まらず、2回に四死球などで二死一、二塁としたところから、習志野1番・小林 風太のタイムリー。習志野に1点を奪われる形になった。
しかし直後の攻撃で、専大松戸7番・加藤 大悟のホームランで勝ち越しに成功。これで勢いに乗った専大松戸はこの回一挙7得点で試合の主導権を握った。
5回に習志野に1点を返されたが、1番・石井 詠己のホームランで追加点を奪い9対2。7点リードで前半を折り返すと、6回には9番・苅部 力翔にもホームランが飛び出した専大松戸。これで13対2となりコールドが成立。習志野を13対2で下した専大松戸がベスト4進出を決めた。
「3試合戦って初めて繋がりましたよ。選抜で考えれば仕上がりは遅すぎるし、夏のことを考えれば早すぎるかな(笑)」
17安打13得点を記録した自チームの打線について、専大松戸の名将・持丸監督が試合後に語った評価になる。専大松戸というと、選抜で好投したエース・深沢 鳳介、そして銚子商戦で144キロを計測した本格派右腕・岡本 陸といった好投手が多く揃っている。OBを見ても上沢 直之や、原 嵩とピッチャーをプロの世界に輩出しているチームとして知られているだろう。
ただ習志野戦では、その投手陣を打線が援護したような形。加藤、石井、苅部の3人にホームランが飛び出す攻勢で習志野を下したが、この結果には1番の石井も「(習志野に)コールド勝ちが出来たことは自信になります」と手ごたえを感じる快勝だった。
マウンドに集まる習志野ナイン
持丸監督も「選手たちのなかでも『俺らはやれるんだ』という気持ちがあるんだと思います」と自信に満ちた姿が目に移っている。その様子はスタンドから見ていても察することが出来るが、それだけでバッティングは良くなるわけではない。そこには確かな意識の変化があった。
「選抜では中京大中京の畔柳君から、二死からあと一本が出すことが出来ずに得点を奪えませんでした。なので、大きい当たりを狙うのではなく勝つために必要なバッティング。打てる確率の高いバッティングを意識するようにしました」
点ではなく、線として攻撃を繋ぐ。打線として機能するために、積極的に振りに行きながら、確実性の高いバッティングを意識しているのだ。たしかに各選手のスイングを見ていると、テイクバックの動作の小さく、タイミングの取り方もすり足やノーステップの選手が多かった。こうした動作からも長打ではなく確実に繋ごうとしている意識が見えた。
また、選手それぞれが打席の中で自身の役割を考えられるようになったことも大きいと石井は話す。例えば石井であれば、「先頭打者として初回はどんな形でも出塁すること」を意識。石井と同じくホームランを放った加藤ならば「下位打線なので、甘いボールを当てに行かないで振り切ること」を意識して打席に入ったという。
漠然と大きな当たりを狙うのではなく、チームの勝利に必要な役割を考えて打席に立つ。世代屈指の好投手・畔柳の前に完封で敗れたことが、この結果が専大松戸の打線を強くし、強敵・習志野から17安打13得点でコールド勝利を手にするまでに至った。
ただ「バントミスや満塁で凡退もしているので、まだまだです」と満足はない。また、レベルの高い投手相手に進塁打と言ったチームバッティングがいかにできるか。石井はこの点も課題に挙げていた。「まずは優勝が出来るように、この先も戦っていきたい」と意気込みを最後に語ったが、頂点まで残り2勝。準決勝ではどういった試合を見せてくれるのか。
一方の敗れた習志野。今大会は多くの選手を起用しながら大会を勝ち上がった。習志野・杉山主将は「新しい発見ができた大会でした。夏までに甲子園を狙えるチームに仕上げてリベンジしたいと思います」と雪辱を誓った。
(取材=田中 裕毅 )