中央学院vs志学館
中央学院、5回コールド発進。チームを1つにさせた履正社・智弁和歌山の強さ
先制のホームを踏む山口(中央学院)
4月24日、中央学院は志学館と対戦し、14対1で大勝し、2回戦では昨秋ベスト4の千葉英和と対戦する。
昨秋、優勝候補と期待を受けながらも2回戦で千葉英和に逆転負けを喫した中央学院。主将・山口諒太は「生活面の見直しや冬の練習では守備を重点的に鍛え、さらにトレーニングも懸命に行ってきました」と振り返る。
中央学院は先制攻撃を仕掛ける。1番に入った山口が右超え二塁打を放ち、さらに守備のミスも絡む間に1点先制。
さらに3回表、3番片山春登のライト越えの三塁打からチャンスを作り、5番小田倉優斗の内野安打で1点を追加。4回表は打者11人の攻めで、7得点。5回表にも5得点の猛攻で、14対0と大差をつけた。
中央学院は攻撃の手を緩めない意味を込めて3回までに試合を決めるというテーマを持っている。昨秋の千葉英和戦では1点の先制をしながらも9回表に逆転負けした悔しい試合を味わっているからこそ出てきたテーマなのである。
山口はこの試合展開について「自分の二塁打からの1点で勢いづくことができましたし、その後も攻撃の手を緩めず試合運びができたのは良かったと思っています」とチームの攻撃内容に手応えを感じていた。昨秋の試合と比べるとベンチ内で活気があって元気もある。
活気ある集団になるきっかけは3月に行った関西遠征だ。1月から2月にかけて紅白戦を行い、充実とした練習ができて、さらに解禁明けの練習試合でも結果を残し、手応えを感じていた時に、履正社にはコールド負けに近い大敗、智弁和歌山相手にも1対6で敗れ、頼みの2枚看板である細谷令央、飯尾嶺も打ち込まれ、チームとしてショックが残る負けとなった。だが、智弁和歌山、履正社の選手たちの姿勢を見て学ぶことはあった。
「自分たちは挑戦者のはずなので、智弁和歌山、履正社の選手たちは本当にベンチ内でも活気があって、見習うところが多かったと思います」
そして相馬監督からもチームとしてバラバラになっていると指摘を受け、そこから日々の生活態度、挨拶、返事など基本的なことを徹底し、何事にも一生懸命に取り組むことを見直し、チームの状態は上向いた。
14対1と好発進した中央学院。次の相手は昨秋に敗れた千葉英和である。山口は次戦へ向けて闘志を燃やしている。
「抽選が決まった瞬間からリベンジを絶対にするということを合言葉にやっていました。絶対に成し遂げたいと思います」
ダブルエースの温存に成功し、モチベーションが高まった状態で臨む中央学院。昨秋から進化した姿をこの試合で見せることができるか。
3番ライト・片山春登(中央学院)
中央学院vs志学館の試合は逸材チェックという意味でも面白い試合だった。
まず先制に導いた主将の山口諒はアグレッシブなプレースタイルが光る好二塁手。スイングにムダがなく、実にシャープ。躍動感のある動きを見せる二塁守備も魅力的だ。東京城南ボーイズ出身で吉野創士(昌平)らとチームメイトだった。ちなみに軽快な守備を見せる遊撃手・鈴木拓海も東京城南ボーイズ出身。この世代の東京城南ボーイズは各校で主役級の活躍を見せている。
野手で最も目を引いたのが3番・片山だ。シートノックではライトの守備位置からダイレクト返球。その球筋が大学生にひけをとらないものがあり、まさに強肩としてウリにできるレベルだった。打撃も実にシュアで、重心が低い構えからレベルスイングでボールを捉え、鋭いスイングで強い打球を飛ばしている。今後の試合でも追跡していきたい逸材だ。
投手陣では、冬の練習で、148キロをマークした細谷令央、140キロ前半をマークした飯尾嶺ではなく、2年生右腕の糠谷翔大だった。右スリークォーターから常時130キロ〜135キロ前後の速球、120キロ前半のスライダーを投げ込む好右腕で、上背もあり、2年秋には140キロ台の速球を投げ込む可能性を持った投手だ。
そして5回裏に登板した坂本義仁もなかなかの好投手で、右スリークォーター気味のフォームから投げ込む常時130キロ〜135キロ前後の速球と120キロ後半にも達する高速スライダーを投げ込み、背番号20ではあるが、他校ならば十分にエース格の実力がある投手だった。この日はやや制球が甘く入り、1失点を喫したが、それでも投手としてのレベルは非常に高いものがある。
実力的には関東地区でも上位に入るものがあるのではないだろうか。走塁の意識、投手のレベル。エースが登板しなくても、レベルの高さを見せてくれた。
(取材=河嶋 宗一)