川越西vs豊岡
8回コールドで制した川越西!勝敗分けた6回の攻防
笑顔を見せる川越西・塚野龍人
西部地区のIブロックでは川越西と豊岡が対戦。秋は互いに地区予選で負けており、県大会出場に向けて初戦を突破して西武文理の待つ決定戦に進みたいところ。
先に試合を動かしたのは豊岡。初回に4番・平井 颯太朗の内野ゴロの間にホームを陥れると、4回には6番・大庭 翔太の内野安打で2点を奪った。
前半までは豊岡ペースで試合が進んだが、後半は一転。川越西が6回、2番・安藤 輝来の死球を皮切りにチャンスを作ると、5番・小野里 元希のタイムリーなどで一挙3得点。これで逆転に成功して勢いに乗ると、続く7回には6番・塚野 龍人のホームランなどで4得点。8対2と豊岡を突き放した。
8回にもダメ押しとなる追加点を奪った川越西。結果、9対2の8回コールドで豊岡を下した川越西が初戦を突破した。
前半までの戦いぶりを見れば、投手戦といえど若干豊岡が優勢に試合を運んでいたが、整備明けから流れが変わった。6回の攻防が1つのポイントになることは野球界ではよくあることだが、その典型的な試合だったといっていいだろう。
では当事者である選手たちはグラウンドで何を感じていたのか。まずは敗れた豊岡の平井主将に話を聞いた。
「前半は力を入れてきた走塁を使えましたが、自分たちの課題である整備明けに3番・高橋 颯の前にランナーを出してしまったことで、自分たちからズルズル崩れてしまいました」
自分たちのリズムを崩してしまったことを平井主将は悔やんでいたが、一方で後半に試合をひっくり返した川越西で、ホームラン含む3安打3打点と活躍した6番・塚野は後半の戦い方をこのように振り返った。
「初回に満塁のチャンスを活かせずに空気が重かったですが、ベンチでは選手たちでポジティブな声をかけ続けて、気持ちだけでも前向きにしていました。それで6回に得点を入れることが出来たことで勢いに乗れたと思います」
豊岡とは逆に自分たちの野球を展開できたことで、一気に勢いに乗ってコールド勝ちを決めた川越西。そんな豊岡の勝利に大きく貢献した塚野は、中学から野球を始めたとのことだが、それを感じさせないスイングを豊岡戦で見せていた。
あまりテイクバックでバットを引かず、足も小さく上げてタイミングをとる無駄の少ないフォームからシャープなスイングを見せる塚野。今年のチームからレギュラーを奪取したそうだが、バッティングが開花したのは春になってから。新型コロナウイルスの影響で全体練習が出来ない期間に素振り、そしてシャトル打ちをするなど最低でも200回スイングすることをノルマにバットを振ってきた。
その中でピッチャーをイメージすることはもちろんのこと、アッパーでドアスイングだったフォームを矯正。インサイドアウトでバットを出し、上から叩けるように映像を撮影するなど視覚的にもフォームを確認して修正してきた。豊岡戦で放ったホームランも「インコースのボールでしたが、インサイドアウトを覚えたから打てたと思います」と塚野は語っており、冬からの成果を見事に体現したといっていいだろう。
野球人生を見ても、さく越えはこれが初めてだったという塚野は笑顔で取材に応じたが、次の相手は強打の西武文理。次戦に向けて「チーム一丸となって1点でも多く点数を取って県大会出場を決めたいです」と引き締めた表情で意気込みを語った。西武文理相手には初回から川越西らしい野球ができるか注目したい。
(取材=田中 裕毅)