東海大菅生vs東京成徳大高
東海大菅生が16強入り 打線不調も左腕櫻井が奮闘
先発・櫻井海理(東海大菅生)
4月7日、東海大菅生は東京成徳大高と対戦し、2対0と辛勝した。
この試合、センバツ帰りの東海大菅生はの不調と見るか、野球は駆け引きが勝負というように、徹底的に鍛え抜かれた基本的な内野守備、カバーリングに対する意識の高さは都内上位チーム並みのものがあった東京成徳大高の守備が存分に苦しめたと見るか。
どちらとも受け取れる。
まず東海大菅生。こんなに打てない東海大菅生は久しぶりでは?というぐらいチグハグさがあった。初回は三者凡退、2回は無死一、二塁からのチャンスを潰し、さらに併殺でチャンスを潰すなど、いつもの展開ならば点をとってもおかしくないが、この試合ではあと1本が出ない。
「センバツに合わせてピークをもっていきましたので、やはりすぐ春の公式戦になると落ちてしまうのは致し方ないかもしれません」
センバツ前の練習試合では強豪校と練習試合を組み、打線は絶好調だったようだが、こうして調子を落としてしまうのは、やはり大舞台後の公式戦は実に難しいことがわかる。
そんな中、この試合で収穫だったのは櫻井 海理の好投だ。昨秋の本郷戦以来の登板。若林監督、東海大菅生のスタッフ陣からは「ブルペンではものすごいボールを投げる投手なんだ」と絶賛される投手だが、精神面が課題で、本郷戦でも思うような投球ができなかった。
援護はない中での試合展開だったが、目覚ましい投球。左スリークォーター気味から投げ込む直球は常時120キロ後半~132キロ程度と決して速くはないのだが、球速以上に速く見える。いわゆる回転数の高いストレートを堂々と投げ込む。さらに110キロ前後のスライダーを低めに集める投球ができる。打たれても、走者を出しても強気な投球ができていた。昨年と比べても明らかに変わった姿が見られる。
0を積み重ねる姿を見て若林監督は「最後まで任せようと思いました」
そして7回裏、鈴木 悠平がホームラン。
「打ったのはストレートです。振りぬいた瞬間、本塁打だと思いました」と手ごたえばっちりの本塁打を放つことができていた。これで高校通算4本塁打目、そのうち2本が公式戦なのだから、勝負強いものがある。若林監督は「まだムラがありますが、ツボにはまった時の飛距離はすごいです」と評価する。
忠岡ボーイズ時代から中学通算32本塁打を放ったスラッガーとして注目を浴びた鈴木悠は、2017年の甲子園ベスト4に進んだ戦いぶりにひかれて、東海大菅生進学を決めた。
新チーム直後、Aチームで出場していたものの、結果を残せずベンチ外となり、その悔しさをばねに先輩、指導者から打撃のアドバイスをもらい、さらにウエイトトレーニングで筋力を増やし、ベンチ入りを重ねた。トレーニングをすれば、どの選手もパワーアップするが、鈴木 悠平の場合、貪欲に聞きに行く姿勢が実ったのだろう。話しをしていても、物おじしない性格をした印象だ。
期待をかけていた3年生左腕、そしてセンバツから登場したニューヒーローの一打で勝利をものにした東海大菅生。若林監督は「今日は櫻井の好投が収穫です。終盤の2点差は投げる側、守る側もプレッシャーがかかりますからそういう中で戦った経験は大きいですし、とにかく試合ができることが大きいので、1試合ずつ積み重ねていければと思います」
次は都内トップクラスの強豪・都立小山台。簡単にはいかない試合というのは理解をしている。新たな収穫を見つけることができるか。
(記事:河嶋 宗一)