桐陽vs沼津商
1点をめぐる競り合いの展開、桐陽が8回に逆転し沼津商を振り切る
8回に決勝点となる三塁打を放った桐陽・飯田君
33校が参加した春季静岡県大会東部地区予選。トーナメントの組み合わせ上2校だけが1回戦から戦うことになるのだけれども、沼津商はその1回戦を戦い伊東、裾野、富士宮東とここまで唯一3勝しての進出である。対する桐陽は、3回戦で強豪の日大三島を下して東部地区の県大会進出を決めて、自信のベスト8進出となった。
沼津市内でも比較的近い同士ということもあって、選手たちはお互いによく知っている間柄でもある。中学時代には同じクラブチームでやっていたり、出身中学が同じという選手も何人かいたようだ。それが、やり難かったのかやり易かったのか…。
初回、桐陽は中西君の安打から四球と野選でいきなり無死満塁の好機を作る。しかし、沼津商の左腕三枝君は比較的冷静で4番近藤君を内野ゴロで併殺。その間に三塁走者は帰ったものの、最悪の形の天乗り撮り方だった。結局、桐陽の初回は1点止まり。
そして2回、沼津商はすぐに反撃。四球とバント失策でチャンスを得ると、一死二三塁として、8番三枝君の初球スクイズで同点。さらに、吉田君もスクイズを試みたがこれは本塁タッチアウト。それでも、3回には一死から3番堀君が左翼線に二塁打して内野ゴロで進めると、「菅野、勝負だ!」と大久保匡人監督から声がかかって、菅野君はそれに応えてしぶとく三遊間を破って逆転した。
桐陽は4回から、背番号1の坂本君がマウンドに登る。坂本君は、昨秋の大会後に志願して三塁手から投手になったという。「冬の間に努力して、しっかり任せられる投手になった」と、新井晶登監督はその頑張りを認めての背番号1だった。
そして沼津商も6回から長島君が登板。ともにエースナンバーを背負った投手同士の投げ合いとなって試合は続いていった。
緊張感の伴った1点差の攻防が続いていったが7回、桐陽が7番飯田君の左前打からチャンスを作り、一死一三塁から中西君の犠飛でついに追いつく。さらに、太田君も繋いで死球もあって二死満塁と逆転の好機となった。しかし、ここでは長島君が踏ん張って同点止まりとした。
8回は沼津商が、2本の安打で二死一三塁まで攻めたが、あと一本が出なかった。ここは、坂本君が踏ん張った。そしてその裏、桐陽は先頭の河口君が左前打で出ると、きっちりと送って一死二塁。ここで、7番飯田君が左越へ三塁打を放って、川口君が帰って勝ち越した。1点をめぐる展開での8回裏の得点でのリードという、桐陽としてはいわば勝てるパターンにハマった展開となった。
桐陽は1点リードでの9回表の、言うならばしびれる守りをしっかりと守り切った。
新井監督は、「県大会進出は決めているのだから、勝っても負けても思い切ってやろうと言っていたのですが、どんどん縮こまってしまいました。決めなくてはいけないバントも決められず流れはどんどん悪くなってしまいました。それでも、緊張する場面でよく守れたのはよかった」と振り返っていた。
桐陽は、飛龍と同じ学校法人沼津学園の姉妹校となっている。元々は男子校が飛龍(当初は沼津学園)、女子校が桐陽というところから始まっている。グラウンドも、沼津学園や球場を飛龍と曜日を分けて使用しているという形だという。東部地区では、お互いに切磋琢磨し合っている。
沼津商は、伝統のある県立商業校だ。惜しくも競り負けたものの、しっかりと鍛えられているチームという印象だった。野球スタイルも、何となく昭和的なクラシカルな雰囲気で、それがまたよかったかなとも思わせてくれた。