修徳vs城西大城西
9回15K!修徳・床枝魁斗が快投と本塁打の活躍で2回戦進出!
ハイタッチする床枝魁斗(修徳)
東東京屈指の実力校同士である城西大城西と修徳。なおかつ、修徳には最速145キロをマークする下町の剛腕・床枝魁斗。城西大城西には137キロを計測する小さなエース・渡邉 寮とともにエース格が昨秋から確立されたチーム同士で、試合は好ゲームとなった。
初回、修徳1番・間島玉喜が四球で出るなど、二死三塁から4番・床枝が城西大城西先発・渡邉のインコースに真っすぐをレフトスタンドに運ぶ先制のホームラン。初回から修徳が主導権を握った。
ただそこからは試合展開は投手戦。自らのバットで2点リードを取った修徳・床枝が力で打者を抑えると、城西大城西・渡邉はキレとコーナーワークで相手に的を絞らせない投球でスコアボードに0が並んだ。
その中で6回に修徳が二死一、三塁から相手のミスで中押しとなる3点目を奪いリードを広げて勝負あり。城西大城西との投手戦を制した修徳が床枝の公式戦初完封勝利で2回戦へ駒を進めた。
勝利した修徳のエース・床枝は評判通りの投球だったといえる。180センチ85キロのがっちりした体格は大学生と見間違えてしまうような風格だが、その体格を目いっぱい使って力強いボールが次々とミットに収まる。その真っすぐに的を絞れば、キレのあるスライダーが混ざり、タイミングが合わない。力投派投手として城西大城西打線の前に立ちふさがり、被安打4、奪三振15、失点0と好投した。
投球フォームを見ていくと、セットポジションからゆったりとしたところから、右腕を振り下ろし、角度のある力強い速球を投げ込んでくる。重心移動も長く、なかなか身体が開かないため、出所が少し見にくく、急にボールが出てくるような印象を受ける。
そうした点を踏まえて床枝に関しては城西大城西の渡邉寮主将は「ピンチの時でも冷静に投げてくる。打席の中で見ても伸びのあるボールを投げていて、テンポ良かった」と感じ取っている。
渡邉寮(城西大城西)
では、投げている床枝本人はどういったことを常に意識しているのか。
「僕の中で調子がいい時は下半身主導のフォームになっています。逆に調子が悪いと頭から突っ込んで低めに叩きつけるボール球が増えますので、どれだけ軸足にタメを作ったうえで重心移動をして上半身と連動させるか。ここがポイントです。あとは少し投げ急いでしまうところがあるので、ゆっくりと動くことでタメを作ると同時に自分のテンポを作れるように意識はしています」
また中盤以降は変化球も増やし、上手く躱している印象もあった。そこに関して床枝は「序盤はストレートで押しましたが、次第に狙われて打たれだしたので、スライダーを増やしました」とコメント。非常に巧みな投球で城西大城西打線を封じ込めたが、一方で「フォームが安定せずにボールが抜けてしまいましたし、相手に助けられたところもあります。自分もチームももっと強くなって、シード校と勝負したいです」と課題も口にする。
荒井監督も、「本当のエースになりつつありますが、もう1つ、2つレベルを上げないと上のステージでは難しいと本人も私も感じています」と話しており、現状には満足していない。2回戦以降も投球が楽しみだ。
敗れた城西大城西は終盤にチャンスを作ったが、床枝のまえに15奪三振とホームベースが遠かった。ただエース・渡邉も床枝とは違う良さをを存分に発揮。
セットポジションからしっかりと左足を上げて一度静止。十分にタメを作ったところから、全身を使ってボールを投げ込む。キレのあるボールがコーナーに丁寧に投げ込まれていく。特にインコースへの制球力は、渡邉本人のなかで昨秋の敗戦からか掲げてきた課題であり、その成果を発揮した投球だった。変化球も多彩で、実戦に向いた総合力のある投手という印象が強まった。
ホームランを放った床枝も渡邉に対しては「2ボールからでもストライクがきっちり取れていますし、ストライク先行のピッチングが良かった」と話しており、修徳サイドも渡邉のピッチングを評価。夏は好投手としてともに注目される存在となるだろう。ここからさらにレベルアップをして、夏の東東京を盛り上げてくれることを楽しみにしたい。
(取材=田中 裕毅)