大島vs樟南
冬場の成果、随所に発揮・大島
大島・大野
樟南は4回裏、一死二塁から9番・茶園 啓太(3年)のライト前タイムリーで先制した。
1点を追いかける鹿児島大島は6回表、先頭の1番・丸田 洋介(3年)がレフトオーバー二塁打で出塁。途中出場の3番・武田 涼雅(2年)の右中間三塁打、4番・田尾 樹珠紀(3年)のセンターオーバー二塁打で2点を返し、逆転に成功した。
7回表は一死から下位打線がつないで満塁とし暴投で貴重な追加点を挙げた。
鹿児島大島の2年生左腕・大野 稼頭央は6四球、7安打を浴び、7回以外は毎回走者を出す苦しい投球が続いたが、11奪三振1失点の力投で勝利に貢献した。
鹿児島大島は冬場に課題として掲げて取り組んだ成果を随所に発揮し、第2シード樟南に競り勝った。
2年生左腕・大野の力投が何よりの原動力だった。走者を出さなかったのは7回のみ。6回までに6四球。毎回のようにピンチを背負い、長時間のマウンドを強いられたが、「今できることへの集中」(塗木 哲哉監督)が最後まで途切れなかった。
要所では130台後半の力強い直球が決まり、三振や凡打で切り抜けた。苦しいマウンドだったが「最後まで周りを信じて、強気で投げられた」と大野。11奪三振1失点、158球の力投は、樟南の大会屈指の好左腕・西田 恒河(3年)に勝るとも劣らない力強さがあった。
打線は6回に3本の長打で2点を奪った。昨秋は鹿屋中央の130台後半の直球に手も足も出ず完敗。そのレベルの速球を打てるために練習してきた。
冬場の紅白戦では大学で野球を続ける卒業生の左腕・藤﨑 右京と前主将・藤本 涼也のバッテリーが投げてくれた。樟南バッテリーも強力だが「先輩たちの方が力は上」と自信を持って打席に立てたと武田は言う。外角低めの直球を振り負けず、右中間を破る同点の三塁打を放った。
バントを使わず「打ってつなぐ」(塗木監督)野球を樟南相手にも貫いた。5回までに3併殺の拙攻もあったが、「ボールをしっかり見る」(塗木監督)ことで西田に81球投げさせた。ボールへの慣れと見極めができたことは、6、7回の逆転劇の布石になった。
現チームは「潜在力はあるが自信が持てていなかった」と塗木監督。まだまだミスも多いが「ミスを続けず、チームでカバーできるようになった。チームとしてのステージが上がった」手ごたえを感じられた一戦だった。
(文=政 純一郎)