北大津vs立命館
復活を狙う北大津 県内屈指の速球と長打力を秘めた二刀流を擁し、強豪と練習試合を組み、実力を磨く日々
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センバツが盛り上がる中、各都道府県で春季大会、練習試合が開催されている。それが当たり前の日常となってきたのはまさに喜ばしい。そんな中、滋賀県で注目のチームがある。それが北大津だ。2008年センバツでは横浜を破り、2010年夏、2012年夏にも甲子園した県立高だ。
8年も甲子園から遠ざかり、今年卒業した3年生がわずか2人しかいないということもあった。しかし寺島祐介監督、上林裕樹部長をはじめとしたスタッフたちが北大津復活のために尽力を尽くし、上昇の兆しを感じさせている。
今年は県内屈指の速球派の上坂真人を擁し、躍進を期待されている。この3月は済美、松山城南、上宮、中京大中京と練習試合を行い、春の大会へ向けて準備を行っている。
まず立命館戦で上坂は4番ライトでスタメン出場となった。この試合、持ち味を発揮したのは立命館だった。4回裏、1番長谷川督馬、2番土井 丈誓の連続本塁打で2点を先制。さらに5回表に北大津を2点を追い上げ、追いついたものの、6回裏にまた2番土井の2ランで4点目。確かにこの1,2番は非常にパワーがあり、ボールを手元まで呼び込んで振りぬくパワーはなかなかのものがあり、今後も見逃せない打者となった。立命館のバッテリーは京都大会でも注目の存在だ。まず左腕の畑 昌輝は右腕のグラブを高く掲げ、テークバックをコンパクトにとってすぐにトップを作り、一気に振り下ろす投球フォーム。フォーム一連の動きがスムーズで、角度ある直球と鋭く落ちるスライダーが絶品。
大学に進めば、140キロ前後はコンスタントに投げる馬力を持った投手だった。
4失点を喫したものの、北大津の先発・佐野 樹は切れのある120キロ後半直球と落差が鋭いスライダーを売りにする好投手だった、まとまりもあり、今後も楽しみな投手だった。178センチ75キロと均整がとれた体格をしており、フィールディングの動きもよく、投手を主に指導する上林部長によるとかなり伸びてきた投手だという。
そして7回裏から上坂がマウンドに登った。上坂は大津瀬田ボーイズ出身で同級生には比叡山の主将で、さらに県内トップクラスの大型野手・島口 裕輝とともに4番ライトとして出場していた選手で、県内外の強豪校に誘われながらも、北大津を復活させたい思いで入学を決めた選手だ。入学時は精神的、取り組み面の甘さがあったようだが、投打ともに落ち着いたプレーを見せており、投打の大黒柱へ成長。中京大中京との練習試合では3失点完投勝利を果たしている。ちなみにこの試合では畔柳 亨丞の登板はなかったようだ。
さて上坂の登板前のブルペンから見ていたが、これほどの好投手がいるのかと驚かされた。すでに速球が140キロを超えるという上坂。171センチ78キロと上背はそれほど大きくないが、140キロ前後の速球を投げ込み、スライダー、カットボール、チェンジアップ、ツーシーム、カーブといった変化球をブルペンに投げ込んでいたが、この試合でもカーブ、スライダーを器用に投げ分けていた。それでも魅力はストレート。
特に左打者の内角に決まるストレートは真後ろから見ても恐ろしいものがあり、さすが滋賀県注目の好投手という印象を受けた。将来的には滋賀が生んだ好投手・瀧中 瞭太(東北楽天 高島出身)のように横移動のうまい投球フォームで翻弄する速球投手に成長する可能性を秘めている。
そして高校通算18本塁打を誇る強打者である上坂は2安打をマークした。パワフルなスイングをして、投打ともに見逃せない。
第1試合は4対2と立命館が競り勝ち、第2試合は立命館打線が爆発。満塁本塁打を含む計2本塁打で圧倒していた。
北大津は投打ともに魅力的な選手が多く、強打の捕手・藤沢 晟一朗、俊敏な動きを見せる遊撃手・岸田 力斗など楽しみな選手が多くいた。
選手も、寺島監督の表情からも復活に燃える様子がひしひしと伝わった。
(取材=河嶋 宗一)