試合レポート

都立日野vs都立紅葉川

2020.11.08

都立日野が1勝1敗に持ち込むも、両チームの新戦力が活躍!

都立日野vs都立紅葉川 | 高校野球ドットコム
都立日野先発・松本蓮

 都立日野都立紅葉川のダブルヘッダー。1試合目は投手戦の末に都立紅葉川に軍配が上がったが、2試合目は都立日野が意地を見せる内容となった。

 初回、後攻の都立日野は1番・須佐凌賀のヒットでいきなりチャンスを作ると、5番・大内隆生と7番・森誠温のタイムリーで2点を先制。1試合目は打線が苦しんだが、この試合は幸先よく点数を奪った。

 直後の2回に1点を返されたものの、都立日野も相手のエラーで3対1とリードを広げる。

 都立日野の先発はサウスポー・松本蓮。怪我の影響で長いイニングを投げたのが初とのことだが、ノーワインドアップから始動していき、右腕で壁を作りながら重心移動。グラブを巻き込む形で引き付ける動作に合わせて、横回転で左腕をスリークォーター気味の高さで左腕を振り抜いていく。

 ランナーを背負ってからの投球は今後の課題だろうが、6回投げて2回にあったバッテリーミスと4回の都立紅葉川6番・平優樹のタイムリーで失った2点に抑える好投を見せた。

 秋の大会ではエース・木下が予選から踏ん張る投球を見せ続けてきた。春先に向けては投手陣に厚みを持たせられることも課題の1つだった都立日野。この試合で松本が好投したことで、「木下と肩を並べられるようになってくれればと思います」と嶋田監督も今後の成長に期待を寄せる投球だった。松本の活躍を楽しみに待ちたい。

 一時は3対2と都立紅葉川に1点差に詰め寄られた都立日野だったが、5回に3番・道祖土慎吾と4番・上野雄哉の連続二塁打で追加点を奪うと、6回と7回にも1点ずつを追加して6対2と試合を決定づけた。

 8回は互いに1点を取り合ったが、都立紅葉川はひっくり返すことはできず。2試合目は7対3で都立日野都立紅葉川に勝利する形となった。



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都立紅葉川の得点シーン

 1勝1敗に持ち込んだ都立日野は2試合目で光ったのが3番・道祖土と5番・大内だった。3番・道祖土は左打席に入ると、重心を下げてどっしりと構えてボールを待つ。左脇を少し開けた状態で、ヘッドをピッチャー方向に傾けてトップを作る。そこから後ろを大きくとってバットを走らせてボールとミートさせる。何より気持ちいいスイングをしており、7回にはライトへホームランを放ってみせた。4打数2安打という結果だったが、着実にアピールしていってほしい。

 2人目の大内も4打数2安打という結果。オープンスタンスで構え、上体を高くしてボールを待つ。テイクバックはあまりとることがないが、ポイントまでシャープなスイングでボールを捉えて打ち返していくのが印象的。道祖土同様に、アピールを続けてさらなる成長を楽しみにしたい。

 松本という新たな投手の台頭を収穫に感じつつも、「クレバーな投手に巧みな投球術を前に打てないので、その辺りを出来るようにすることですかね」と1試合目の山崎正義の前に抑えられたことを課題に挙げた。

 樋口恵斗主将も「新チームスタート時は右打ちなどの繋ぎができましたが、開いてしまうなど悪いところが1試合目は出ました」と嶋田監督と同様に打線に感じていた。秋は好投手・市川祐関東一)の前に抑えられたが、その課題を糧にどこまで成長するのか。

 一方で連勝とはならなかった都立紅葉川。しかし秋の大会が終了してから、「バッティングを課題にしてきたので、空振りもOKだからということで振っていかせているので、結果が出た選手は自信を付けたと思います」と高橋監督は取り組んできていることに少し手ごたえも感じている様子だった。

 秋は東京成徳大高に1点しか取れなかったこと。そして精神面に課題を感じて日々の練習でもバッティングを中心に取り組みつつ、あえて球数も3球で交代するなど工夫を凝らしながらきている。主将の出牛大介も「自分で状況を口にしてバッティングをしたり、3球で変わったり。あとはティーバッティングも1球で変わるなど試合を想定してきていますが、初球から仕掛けていけるようになっています」と手ごたえを感じている。これからのレベルアップに期待をしたい。

 そんな都立紅葉川で紹介をしたいのが、5番・田内康之助。目立った癖などはないが、ポイントを引き付けると、上から鋭いスイングではじき返していく。思い切りの良いスイングだが、変化球への対応力が今後の課題となりそう。それでも今後の成長を期待したくなるバッターだった。

(取材=田中 裕毅)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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