日大一vs都立小山台
秋16強・都立小山台に3失点完投!古豪・日大一の二刀流・佐藤(和)の好投光る!
日大一・佐藤(和)
3日の文化の日は各校にとって練習試合をはじめ、練習に打ち込める貴重な祝日だ。全国各地で練習試合が行われる中、東東京の古豪・日大一が都立小山台を迎え入れて練習試合を実施した。
毎年、この時期に練習試合をする間柄とのことだが、両校ともに東東京に所属するライバル同士。今夏はともに2回戦で姿を消したが、今秋の大会は都立小山台がベスト16進出。そして日大一はブロック予選で敗退という立ち位置。日大一は都立小山台に挑み、都立小山台は迎え撃つような構図となる。
だが試合は日大一がリードする展開となる。
1対1で迎えた2回、後攻の日大一は4番・佐藤(和)の右中間への二塁打で3点を追加。主砲の一打で勝ち越しに成功した。
佐藤はオープンスタンスでボールを待ち、軸足にしっかりとタメを作りながらテイクバックをすることなくヘッドを立ててトップを作る。懐の深さを活かして、ポイントを手元まで引き寄せると、最短距離でバットを叩いていく。
センターから逆方向へしっかりと打球を飛ばせる印象を受けるバッティングが光り、見事勝ち越し打を放った佐藤(和)。その佐藤(和)は投げても存在感を発揮する。
「去年試合をやったときにホームランを打たれたので、その借りを返したい」と1年越しのリベンジに燃えてマウンドに立つと、一塁側のプレートを使ってノーワインドアップから始動。腕を大きく回しながらテイクバックを取ってトップを作ると、スリークォーター気味の高さから腕を振り抜いていく。
連動性を持ったフォームで、変化球を投げる時もしっかりと腕が振れているのが印象的な佐藤(和)。3回に都立小山台3番・早野、5回には5番・新井の一打で4対3の1点差に詰め寄られたが、同点や逆転までを許さない粘りの投球で勝利を手にした。
持ち味のストレートは最速130キロ程度で、変化球もスライダーとカーブが中心。時折浮くこともあるが、コースにしっかりと投げられる制球力で、ストライクゾーンを広く使う投球で都立小山台打線を封じ込める。
敵将・福嶋監督、そして都立小山台のスラッガー・森村も「コントロールが良く、良い投手」と評価する佐藤(和)の生命線はイメージだ。
「キャッチャーにはハッキリとコースに構えてもらい、ミットまでのボールの軌道をしっかりとイメージして『そこに投げる』という意識をしっかり持って投げ込むようにしました」
またトレーニングをする際は、どの部位を鍛えているのか。ピッチングの動作に繋がるように意識をもって取り組んでいるとのこと。今後はペース配分や、持ち味であるストレートを磨いていくことを課題に掲げる。
投球術でライバル・都立小山台を封じ込めた佐藤(和)。「ちょっと自信はつくと思います」と手ごたえをつかんだ。一冬かけて基礎体力を高めていった先に、どれだけの投手になるのか。楽しみな投手だった。
(取材・写真=田中 裕毅)