日大三vs二松学舎大附

日大三先発・宇山 翼

　秋季東京大会準決勝・二松学舎大附vs日大三　スターティングメンバー

【先攻：二松学舎大附】
1番（二）永見 恵多
2番（遊）栗島 義昌
3番（中）瀬谷 大夢
4番（一）関 遼輔
5番（三）浅野 雄志
6番（右）櫻井 虎太郎
7番（捕）鎌田 直樹
8番（投）秋山 正雲
9番（左）冨安 翔太

【後攻：日大三】
1番（中）星 憂芽
2番（二）齋藤 広空
3番（右）井坪 朝陽
4番（一）林 夢人
5番（三）川島 柾之
6番（遊）鎌田 慎也
7番（捕）安田 和輝
8番（左）山岡 航大
9番（投）宇山 翼

　日大三といえば、猛打のイメージが強いが、今年は小倉全由監督が「守りが安定している」と語るように、左腕の宇山翼を中心とした守りのチームになっている。

　先取点を挙げたのは二松学舎大附だった。3回表二死後2番・栗島義昌の中前安打に続き、3番・瀬谷大夢のレフト線への二塁打で栗島が生還した。

　二松学舎大附のエース、左腕の秋山正雲は、高校時代の大江竜聖（現巨人）を彷彿させるフォームから力のある球を投げ、3回を終わって奪三振5と快調な立ち上がり。

　しかし4回裏、この回の先頭打者である日大三の2番・齋藤広空が死球で出塁すると、3番・井坪朝陽が送り、ワイルドピッチで三塁に進み、4番・林夢人の右犠飛で生還し、無安打で同点に追いついた。

　6回表日大三の宇山は制球を乱し、3人続けて四球で無死満塁となる。それでも7番・鎌田直樹は三振、8番・秋山は投ゴロで1-2-3の併殺となり、二松学舎大附はチャンスを生かすことができなかった。

　秋山は1点を失ったものの、7回まで安打を1本も打たれていない。しかし球威はあるものの、球数も多かった。5回を終わって93球と、ほぼ100球に達していた。

　日大三の小倉監督は選手たちに、「相手のピッチャーも疲れてくるから、我慢、我慢だ」と言い続けた。そして8回裏の日大三の攻撃で、好投していた9番の宇山が待望の初安打を放つ。ここで日大三は一気に攻める。1番・星憂芽の二ゴロで宇山は二塁に進み、2番・齋藤の左前安打で宇山は生還し、日大三が勝ち越す。さらに3番・井坪、4番・林の連打で、さらに1点を追加した。

　もっともこの大会の二松学舎大附は9回に強い。9回表二松学舎大附は7番・鎌田がライトへ三塁打を放つ。続く秋山には四球で一、三塁。ここで二松学舎大附は代打に1回戦でサヨナラ逆転3ランを放った柴田怜英を送る。そこから宇山のワイルドピッチで鎌田が生還する。さらに無死二塁となったところで、代打・柴田に対する代打で成澤悠太を送る。完全にバントのための代打である。

　しかし成澤はバントができず、三振に倒れる。「（成澤は）試合から遠ざかっていましたから」と市原勝人監督は言う。それでも1番・永見恵多に四球を出して、二松学舎大附が逆転のチャンスを迎えたところで、日大三は、宇山に代えて、背番号1の岡村海琉をマウンドに送る。

　「もともと8月は岡村が主戦でした。ただ疲れが出ていたので投げませんでしたが、（3回戦の）小山台戦あたりから行けるようになっていました」と小倉監督は言う。実際岡村は打者2人をしっかり打ち取って、試合終了。日大三が3対2の1点差と言う、きわどい勝負を物にした。

　二松学舎大附の秋山は、152球を投げ、1人で投げ切った。ただ8回裏に1点を取られた後、さらに1点を追加されたことに、市原監督は、「糸が切れた感じがしました。真のエースになってほしい」と、期待しているが故の、注文をした。

　二松学舎大附は、2年前の夏に甲子園に行ってから、結果を出せないでいた。この秋も初戦敗退の危機から、柴田の代打逆転サヨナラ3ランで勢いに乗り、勝ち上がってきた。エース・秋山を中心としたこの秋は、夏に向けて、十分期待できる戦いぶりであった。

　決勝進出の日大三は、勝ちながら強くなってきた。東海大菅生の打力と機動力にどう対抗するか。西東京勢同士の大一番になった。

（取材＝大島裕史）