二松学舎大附vs岩倉
7回コールドも課題を残す二松学舎大附。岩倉を下して3回戦へ
ホームラン放った二松学舎大附・櫻井 虎太郎
10月も終わりに差し掛かるが、秋季東京都大会はまだ2回戦。ここから熱い試合が続いていくが、[stadium]江戸川区球場[/stadium]では二松学舎大附と岩倉の東東京勢の対戦が実現した。
二松学舎大附は前評判の高いエース・秋山 正雲がマウンドへ。セットポジションからゆっくりと少しひねりながら足をあげていき、ファースト方向に足を延ばしながら重心移動。着地すると、鋭く体を回転させて、力強い真っすぐと鋭く変化する縦の変化球を駆使する本格派左腕。
その秋山が岩倉の初回の攻撃を三者凡退に切って取る立ち上がりを見せると、直後の攻撃で1番・永見 恵多のレフト前でチャンスを作る。堅実な守備を試合中から見せていた永見は少し大きなテイクバックからバットを走らせていき、前に置いたポイントまで一気に振り抜く。長距離ヒッターというわけではないが、打って出塁できるバッターではないだろうか。
その永見のヒットと相手の守備のミスでチャンスを作ると、押し出しや8番・鎌田 直樹のタイムリーで二松学舎大附が3点を先取した。
さらに2回には6番・櫻井 虎太郎の三塁打などで一挙4得点を奪って、7対0と試合の流れを掴んだ二松学舎大附。6番・櫻井は無駄の少ないフォームから、全身のパワーをしっかりとボールにぶつけてボールを飛ばしていく。また、追い込まれてからタイムリーを放ったが、下半身を柔らかく使えるところもポイントではないだろうか。
3回にも1点を加えて8対0とした4回には6番・櫻井にホームランが飛び出し、9対0となった二松学舎大附。
櫻井は前の試合ではスタメンではなかったが、「元々バッティングが良いんですが、左投手と言うこともありましたので決めました」ということで起用した。市原監督の期待に見事にバットで答えた形になったが、「よく頑張ってくれたと思います。試合に出る9人、10人ではなくチーム全員でやるためには、櫻井のような選手が出ることはチームにとって大きい」と改めて活躍を称賛した。
追いつきたい岩倉は7回に4番・古坂 虎汰朗のヒットをきっかけにチャンスを作ると、代打・尾池 仁のタイムリーで1点を返したが、反撃もここまで。二松学舎大附・秋山が追加点までは許さずゲームセット。9対1の7回コールドで2回戦を突破した。
二松学舎大附・秋山 正雲
力のあるボールで岩倉打線を封じた二松学舎大附・秋山。今後の試合でも活躍が期待されるが、評価は厳しかった。
「相手はストライクをどんどん振ってくるので、少し怖さも感じましたが、気持ちを入れて投げました。ただ後半に自分の甘さが出たので、あまりいいピッチングではなかったと思います」
チームを指揮する市原監督も、「全般は良かったですが、後半は集中力を欠いてしまいました。次の試合に繋がる終わり方ならいいですが、もう一度締めないといけないです」とコメント。今後、さらなる厳しい試合で秋山はじめ、二松学舎大附がどんな野球を見せるのか楽しみだ。
一方で敗れた岩倉。ヒッチ気味にタイミングを測ってスイングからチーム唯一の長打を放った2番・石橋 航平など各打者しっかりバットを振れている印象だったが、どれだけコンタクトできるか。
また3番手で登板し、二松学舎大附打線を封じた力のあるボールが特徴的な右オーバースロー・川津 凛太をはじめ、複数の投手がそれぞれ個性を持っており、1人1人が伸びてくれば春以降は面白いチームになるのではないだろうか。
豊田監督は、「自力や気持ちの部分から目指すレベルがどれくらいなのか。どれくらい力を付けないと全国狙えないのかわかったと思います。全てになりますが、一冬鍛えられればと思います」とこの敗戦を春先以降に活かしていく姿勢を見せた。
主将の高畠雅裕も気持ちは同じだ。
「当たり前を当たり前にやることができなかったことが敗因だったと思います。相手の方がすべての能力が高かったことを、全員が感じたと思うので、基本を伸ばすことが今後必要だと思います」
今回の試合をきっかけに、一皮も二皮もむけた岩倉の姿を春以降に見られることを楽しみにしたい。
(記事=田中 裕毅)