北海vs旭川実
白熱の投手戦を制した北海が10年ぶり12回目の優勝!
優勝した北海
北海が1対0で旭川実を破り、10年ぶり12回目の優勝を果たした。
北海の木村大成投手(2年)と旭川実の田中楓基投手(2年)による投手戦。両チームとも得点の糸口を掴めないまま迎えた8回、二死走者なしから北海の3番・江口聡一郎外野手(2年)がライトスタンドへ先制本塁打。この1点を守り切った。
本塁打を放った江口は準々決勝で人生初のさく越え弾を放っており、「こんなに早く2本目が出るとは思わなかったので自分でもビックリしています」と驚きながらも喜びを語り、平川敦監督も「一振りで決めてくれた。今年右肩の血行障害になり、苦労してきた生徒なので、我慢して我慢して最後頑張ってくれた一振りで結果が出たので、非常に嬉しく思います」と讃えた。
エース木村は立ち上がりこそピンチを作ったが、3回以降は旭川実打線をパーフェクトに抑え、2安打11奪三振で完封。球数も104と少なかった。「自分の持ち味である真っすぐで相手を抑えられたことが良かった。道内で一番良い投手の田中投手と戦えるということで、楽しみたいと思って投げていました。まだまだ全国のチームに比べると、体格・技術はまだまだ。一から上を目指して冬にやっていきたい」と語った。
北海は1回戦から5試合を戦う厳しい組み合わせ。しかも2回戦で6回途中降雨ノーゲームがあり、実質6試合を戦ったが、そのノーゲームも含めて無失策と堅い守備が投手陣を支えた。
一方、敗れた旭川実だが、エース田中は北海打線を5安打1失点と見事なピッチング。8回の被弾については「真っすぐが高くなってしまった。相手打線が真っすぐを狙ってきていたのはわかっていたが、自分の持ち味なので真っすぐにこだわりました」と振り返った。
ただ、「北海の木村投手との投げ合いは楽しかった。課題のコントロールを磨きたい」と笑みも見せながら来年への飛躍を誓った。
先のことはわからないが、来年を見据えて頑張っていきたい
準優勝に終わった旭川実
今大会は新型コロナウイルス(COVID-19)対策のため、夏の南北・北海道独自大会に続き保護者や学校関係者などを除き原則無観客で開催された。
例年、優勝校は明治神宮大会出場権を獲得するが、9日に神宮の中止が発表された。北海の宮下朝陽主将(2年)は「(9日は休養日で)自主練習の時に知った。残念だけど落ち込んでは準決勝に影響するので、切り替えよう話した」と語った。
これで年内の公式戦は終了。優勝校は来春の選抜高校野球出場が見えてくる状況ではあるが、平川監督は「開催されるかどうかは今後の状況ですけど、自分たちのやれること、準備をしっかりしていきながら来年を見据えて頑張っていきたいと思います」と言葉を選びながら慎重に話した。
来春の第93回選抜高校野球大会は、1月29日に出場校決定、3月19日開幕の日程が発表されて開催への準備が進められるが、先のことがわからないのは春夏の甲子園大会、軟式大会、神宮大会などが中止になった今年思い知ったことだ。
COVID-19の状況が落ち着いたとしても、別のウイルスがこない保証はどこにもない。平川監督の言葉が全てを物語っている気がした。
(記事=松倉 雄太)