試合レポート

春日部共栄vs山村学園

2020.09.28

春日部共栄が山村学園・小泉を攻略しコールドで準決勝へ!

春日部共栄vs山村学園 | 高校野球ドットコム
エース・小泉裕貴(山村学園)

 大宮市営球場の第一試合はBシード・春日部共栄山村学園という共に強打が売りのチーム同士の一戦となった。

 春日部共栄髙橋正吾(2年)、石﨑慶太郎(2年)のバッテリーに増田凛之介(2年)など昨秋のスタメンが4人残る。一方の山村学園は1年春から登板していたエース小泉裕貴(2年)はもちろんだが、今夏出場していた1番・佐藤塁大(2年)や1年生坪井蒼汰、左腕の石下柚太(2年)や福田拓実(2年)などが公式戦経験を積んでいる。

 先発は山村学園・小泉、春日部共栄・左腕の髙橋と両エースが登板し試合が始まる。

 打撃好調の春日部共栄は初回から山村学園・小泉に襲い掛かる。

 初回先頭の吉村颯(1年)がセンター前ヒットを放ち出塁すると、続く篠崎匠(2年)がきっちりと送り一死二塁とする。さらに、3番・増田がセンター前ヒットを放ち一死一、三塁とチャンスを広げると、続く石﨑がレフト前タイムリーを放ち春日部共栄が幸先良く1点を先行する。打者はいずれも高めに入った変化球を捉えたものだ。

 だが、その後一死一、二塁のピンチは山村学園バッテリーがそれを察知しストレート勝負に転じ連続三振を奪う。春日部共栄は1点でこの回の攻撃を終えた。

 だが、2回裏二巡目を迎える所で早くも山村学園・小泉を完全に捉える。

 一死から8番・山口叶翔(1年)が三振振り逃げで出塁すると、続く飯塚洸貴(2年)もレフト前ヒットを放ち二死一、二塁とする。さらに、1番・吉村もレフト前ヒットを放ち二死満塁とすると、続く篠崎が左中間へ走者一掃のタイムリー二塁打を放ち4対0、さらに3番・増田もレフトスタンドへ2ラン本塁打を放ちあっという間に6点差をつけ山村学園・小泉をマウンドから引きずり降ろす。

 一方の山村学園もすぐに反撃を開始する。

 3回表、この回先頭の難波歩叶(2年)がライト前ヒットを放ち出塁すると、続く井上翔汰(1年)も四球を選び無死一、二塁と絶好の反撃機を迎える。だが、後続が凡退し内野ゴロの間による1点のみで攻撃を終了する。

 それでも山村学園は5回表、二死から9番・井上翔が左中間へ三塁打を放つと、続く佐藤塁がセンター前へタイムリーを放ち6対2としジワジワと追いかけ始める。

 このあたりは、春日部共栄ベンチもエース髙橋も厳しい状況であったはず。というのも、山村学園打線も2巡目から3巡目を迎え、春日部共栄・髙橋の変化球に対し、低めのゾーンを上げきっちりと見極めていた。ブルペンでは右投手が用意していたが、山村学園打線は左打者が5人おり、安易にエース髙橋を下げる訳にもいかない。



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2ランを放った増田(春日部共栄)

 だが、春日部共栄は好調の打線が投手陣を助ける。

 5回裏、1年生左腕の2番手・田中翔太(1年)に対し、この回先頭の川合智之(2年)が四球を選び出塁すると、一死後7番・髙橋がきっちりと送り二死二塁とする。さらに8番・山口叶が三振振り逃げで出塁し二死一、三塁とチャンスを広げると、続く飯塚の所で春日部共栄ベンチは一走・山口叶とのエンドランを仕掛ける。これがライト前タイムリーとなり再度5点差をつけ相手の流れを止めた。

 7回裏には3番手・左腕の石下を攻め、この回先頭の長谷川亮輔(2年)がセンター前ヒットを放ち出塁すると、続く髙橋がきっちりと送り一死二塁とする。二死後、9番・飯塚、1番・吉村が連続死球で出塁し二死満塁とチャンスを広げると、さらに2番・篠崎も押し出し四球を選びまず1点、最後は3番・増田が右中間へタイムリーを放ちコールドが成立する。結局終わってみれば春日部共栄が7回コールド9対2で山村学園を退け準決勝へ駒を進めた。

 山村学園はとにかくエース小泉が誤算であった。この日は総じてボールが高くあまり良い出来とは言えず、春日部共栄打線に捕まった。打線も、前日13安打を放った姿は影を潜め、この日は春日部共栄・髙橋の変化球攻めに苦しみ4安打に終わった。

 このあたりは岡野監督も「小泉の調子どうこうよりも相手の打線のほうが上だった。力負けです。変化球を狙えと言っていたんですが、狙い切れなかった。確かに途中からゾーンは上げていたが、甘いボールが捉えられなければ狙えていないのと一緒」と手厳しかった。

 元々前評判は高かっただけにこの結果は痛恨であろう。だが、今大会もベスト8と最低限来春のシードは獲得している。この日2番手で登板し好投した田中や野手でも松野、坪井、井上など有望な1年生もおり、一冬を越しさらにパワーアップした姿を見せてくれるであろう。

 一方の春日部共栄はここまで地区予選も含め全試合コールド勝ちと非常に順調な状態をキープしている。とにかく打線が好調で、エース髙橋も時折制球を乱すことはあるが、昨秋からの経験を生かし大崩れすることはない。

 ただし、百戦錬磨の本多監督は「バッティングはいつになく調整がうまくいっている。ただ、これまで全部コールド。(競ったゲームをできていないことが)嫌なんだよね、これ」と苦笑いをしていたが、今大会これまであまりに順調に行き過ぎていることがかえって怖さにもつながっているようだ。

 この日奇しくも花咲徳栄が破れついにシード校最後の砦となってしまった春日部共栄。次の相手は絶好調の吉野創士を擁する強打の昌平が相手だが、シード校の意地を見せ関東大会へ進むことはできるか。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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