試合レポート

川越東vs豊岡

2020.09.14

今年の川越東のカラーは“元気と全力疾走”

川越東vs豊岡 | 高校野球ドットコム
川越東・新井大悟

【熱戦の模様をギャラリーでチェック!】

 「高校野球の原点に立ち返りました」と川越東・野中監督は言う。

 今年の川越東は“元気と全力疾走”がテーマだそうだ。旧チームと違い、レギュラーに体の小さい子が多い。だがその分機動力はある。足にはブランクがない。

 先発は川越東が背番号3の右腕・新井大悟(2年)、一方の埼玉豊岡は背番号10の1年生左腕・民谷颯太が登板し試合が始まる。

 川越東は初回、民谷の立ち上がりを攻め先頭の白水大陸(1年)が四球を選び出塁すると、続く種田太一(1年)がきっちりと送り一死二塁とする。二死後4番・久永丈太(2年)がセンター前タイムリーを放ち幸先良く1点を先行する。

 川越東は4回表にもこの回先頭の富田拓海(2年)がレフトフェンス直撃の二塁打を放ち出塁すると、続く久永のレフトフライで二走・富田がきっちりと三塁を奪う。続く矢矧慶多(2年)のライトへの犠飛で1点を追加すると打順も2巡目を迎えた5回表ついに埼玉豊岡・民谷を捉える。

 この回先頭の神保直希(1年)がライト越えの三塁打を放ち出塁すると、続く加藤大空(2年)がセンター越えのタイムリー二塁打を放ちまず1点、さらに9番・新井がファースト強襲のタイムリーを放つと、続く白水が右中間へタイムリー二塁打を放ち、5点差をつけ民谷をマウンドから引きずり降ろす。



川越東vs豊岡 | 高校野球ドットコム
豊岡・民谷颯太

 一方の埼玉豊岡の反撃はその裏、二死から7番・濱野征也(1年)が右中間へ二塁打を放つと、続く樋渡盟(2年)も四球を選び二死一、二塁とチャンスを広げる。代打・山﨑寿真(2年)の所で、二走・濱野がノーサインで三盗を試みる。状況的にはやや暴走気味ではあるが、キャッチャー矢矧が悪送球を放り埼玉豊岡が1点を返す。

 だが川越東は6回表にも埼玉豊岡の2番手・濱野を攻め二死から7番・神保がレフト前へポトリと落ちる二塁打を放つと、続く加藤がレフト越えのタイムリー二塁打を放ち再度5点差とする。

 それでも、粘る埼玉豊岡はその裏、先頭の二見悠(1年)がライト前ヒットを放ち出塁すると、2番・樋渡廉(2年)、3番・大庭翔太(2年)は内野ゴロに倒れるがその間に二見は三進する。そして二死三塁から三走・二見が果敢に川越東・新井へ走塁でプレッシャーをかける。ここからやや流れが変わる。

 川越東・新井はこれを意識するばかり4番・平井颯太郎(2年)に四球を与えると、続く稲葉颯(2年)に右中間へ2点タイムリー二塁打を浴び6対3とされてしまう。

 勢いに乗った埼玉豊岡は7回裏、この回先頭の濱野が四球で出塁すると、続く樋渡盟もライト前ヒットを放ち無死一、二塁とする。9番・伊藤涌弥(1年)がきっちりと送り一死二、三塁とするが後続が倒れ無得点に終わる。

 一方、これでやや尻に火が付いた川越東は8回表、この回先頭の矢矧が右中間へ二塁打を放ち出塁すると、大平泰地(2年)、神保がそれぞれ四球を選び無死満塁とする。ここで8番・加藤が右中間へ走者一掃となるタイムリー三塁打を放ち再び試合の流れを引き戻すと、一死後1番・白水がきっちりと犠飛を放ち試合を一気にコールドペースへと持ち込む。最後はこの回からマウンドに上がった1年生左腕・伊藤匠海が三者三振を奪う。結局川越東が埼玉豊岡を8回コールドで退け県大会進出を決めた。



川越東vs豊岡 | 高校野球ドットコム
川越東2点目のシーン

 川越東はコロナ禍で山梨、群馬、茨城、東京の高校と練習試合が組めずまだまだ新チームは手探り状態ではある。打順も決めかねており先発の新井もこの日はほとんどストレートであった。それでも、結局12安打を放ちコールド勝ちを収めた。総じて小粒ながらもこの日は長打9とパンチ力がある所も証明してみせた。今春有望な1年生が48人入ったことによる高いレベルでのレギュラー争いの効果も相まって打線は好調を維持している。部内は活気に満ち溢れており、2年生もうかうかしてはいられないであろう。「あと5人いる左投手も含め左腕王国を作りたい」と野中監督も豪語していたが、今後はむしろこの日先発した新井、エース吉藤白玖(2年)を含め右投手の意地にも期待したい。

 一方の埼玉豊岡・北監督は川越東のOBである。実は今夏も初戦で当たり打撃戦の末、母校に敗れている。そのリベンジと母校に一泡吹かせるべく手は尽くしたが、最後は力負けであった。ただし、執拗な走塁でのプレッシャーがきっかけとなり中盤は一旦流れを引き戻すなど見せ場は作った。

「二見のような姿勢も彼だけではなく他の選手も持ってくれれば。まだチームは道半ばなので」(北監督)

とチームの意識向上を求めつつ、選手達の成長を期待するその目は早くも来春以降その先を見据えていた。

(記事=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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