鶴岡東vs日本航空石川
好投手の投げ合いとなった一戦は鶴岡東が前半のリードを守り切って勝利!
太田 陽都 ※2019年10月18日の秋季東北地区大会より
昨年のチームを経験する山路 将太郎を中心とした打線を武器とする鶴岡東。そして大型プレーヤー・嘉手苅 浩太と田中 颯希の140キロ近くを投げる2枚看板を軸に守備から展開する日本航空石川。両チームの試合は初回から激しく動いた。
鶴岡東が初回に3番・馬場 和輝が一死一塁から長打で先制すれば、日本航空石川は二死二塁から4番・小川 純明と5番・毛利 水樹の連続タイムリーで2点を手にした。
日本航空石川は2回にも1点を加えるなど打ち合いの様相を見せていたが、イニングを追うごとに試合は落ち着きを見せていく。そんな試合展開にしたのは、両チームの先発陣がしり上がりに調子を上げたことが大きい。
日本航空石川の嘉手苅は「投手であれば大谷翔平を目標にしています」というだけあり、どこか大谷を彷彿させるフォームをしている。
ノーワインドアップから滑らかに動き出していくのが第一印象の投手。足を少しひねりながら上げてヒップファーストで開きを抑えながら体重移動。力むことなく、脱力された右腕から140キロ台をマークするストレート。さらにカットボールやツーシームなどストレートに近い変化球も混ぜながら打者を打ち取っていく。
一方の鶴岡東はサウスポー・阿部 駿介が先発。一塁側のプレートを使って、身体を倒しながら重心移動してボールに角度を付けていく変則的なサイドスロー。また時折、オーバースローをするなどバッターに的を絞らせないピッチングで試合を落ち着かせていく。
両投手がスコアボードに0を並べていく中で、3回に鶴岡東は5番・吉田 陸人のタイムリー。さらに5回には相手バッテリーのミスで得点を重ねて5対3とした。
後半は鶴岡東の阿部、日本航空石川は2番手・田中のピッチングで膠着状態へ。そして8回から鶴岡東はエース・太田陽都をマウンドへ送って、逃げ切り態勢。上半身の力を活かして140キロを超える速球を投げ込み日本航空石川打線を翻弄するも、9回は二死から2つの四球とエラーで満塁とピンチを背負った。
それでも日本航空石川の3番・中村 京史を打ち取って5対3で鶴岡東が逃げ切った。
甲子園での勝利に大きく貢献した鶴岡東・阿部は「こういう大舞台で活躍できてよかったです」と喜びのコメント。序盤は慌てるシーンが多かったが、イニングを追うごとに安定感があった阿部。独自大会では1試合の登板だけだったが、最後に結果を残したのは、今後に活きていくだろう。
一方、敗れた日本航空石川の嘉手苅は「打者に張られても捉えられないボールを投げていきたいです」と次のステージでのさらなる成長を誓った。
(取材=田中 裕毅)