中京大中京vs智辯学園
エース・高橋が10回11K!延長タイブレークを制して中京大中京が公式戦無敗で終える!
高橋宏斗 ※2019年11月17日の神宮大会より
明石商の中森俊介と肩を並べる実力で、昨秋の神宮大会優勝投手・高橋宏斗。愛知県の独自大会では154キロをマークして、今大会も高い注目を集める剛腕だ。
その剛腕の前に立ちふさがったのが、強打で有名な智辯学園。今年は白石陸、2年生スラッガー・前川右京らを揃えて昨秋の大会のチーム成績は打率.386、14本塁打をマークしており破壊力は健在だ。
この対戦に多くの報道陣が駆け付けた。注目度の高さを表すが、その期待に応える好ゲームを両チームが見せてくれた。
初回、中京大中京の1番・西村友哉が二塁打と相手のミスから無死三塁とする。すると続く2番・中嶌優の打席でバッテリーエラー。中京大中京が相手のミスを突気ながら先取点をもぎ取る。
この1点で中京大中京打線が勢いに乗ってしまう。3番・中山礼都の内野安打などでチャンスを続けると、5番・吉田 周平と6番・南谷 雅貴の連続タイムリーで初回に3得点。一気に畳みかける集中力は、さすが昨秋日本一に輝いたチームの戦い方だった。
リードをもらった中京大中京・高橋は序盤3回まではランナーを出しながらもホームを踏ませないピッチングで進んだ。
しかし4回、智弁学園の4番・前川 右京と5番・今崎 圭秦に連続で死球を与える。すると押し出し四球や9番・西村 王雅のタイムリーで同点を許してしまった。
4回終わって3対3となったが、ここから試合が膠着状態になる。中京大中京の高橋はスライダーなどの変化球が中心に組み立てで智弁学園を封じたが、それ以上に智弁学園の2年生左腕・西村がしり上がりに良くなったのが大きかった。
西村王雅 ※2019年11月2日の秋季近畿地区大会より
初回は4本のヒットを許したが、それ以降はヒットわずか3本。10回投げて与四死球も2つのみとテンポが良かった。サイドスローに近い投げ方から130キロ台のストレートを投げ込むが、120キロ台を計測する大きく曲がるスライダーが効果的だった。これでカウントを稼ぐことも出来れば、きっちり勝負球といしても投げ込め、ゴロアウトの山を築くことが出来た。
両チーム途中、走塁ミスやバントミスなど細かなミスがありながら決定打を欠き、試合は10回に突入。ここからタイブレークとなり、先攻・智弁学園が有利な展開だった。だが、2番・白石、3番・大橋誠斗が打ち取られると、途中出場・植垣 洸が150キロのストレートで空振り三振。
これでサヨナラへ、がぜん勢いづいた中京大中京は直後の攻撃で無死満塁から1番・西村がセカンド後方へのインフィールドフライでアウトとなるが、これを落球し、その間にランナーが生還。劇的な幕切れで中京大中京が4対3で勝利した。
これで中京大中京は公式戦無敗で終わることとなった。エース・高橋は「チームの目標であった無敗に貢献できてよかったです」とコメント。試合を通じて球速を落とすことなく、球威で圧倒したのが印象だったが、そのことについて「自分だけの力ではなくて、自分をサポートしてくれたり、周りからの声が一番の救いでした。ですので、自分だけの力ではできませんでした」とチームメイトへの感謝の言葉を残した。
一方、敗れた智弁学園。あと少しのところまで追いつめたが、先発の西村や4番の前川。そして背番号11の小畠一心という2年生トリオが最終学年となり、注目が集まる。前川は「春夏で甲子園に出場して全員で優勝を獲りに行きたいです」と新チームへの決意を表明した。
(取材=田中 裕毅)