試合レポート

千葉黎明vs成東

2020.08.09

千葉黎明が4投手の投手リレーで完勝。成東の142キロ右腕・丸山も光る投球を見せる

 千葉はブロック決勝の10日までとてもタイトなスケジュールだ。そのため投手の球数を気にしないといけない。千葉黎明は今年の千葉でも指折りの好左腕・千葉 汐凱がいるが、なるべく負担をかけずに勝ち進んでいきたい。8日のブロック準決勝戦に先発したのは伊藤翔音。右スリークォーターから常時125キロ前後の速球、スライダーを投げ分ける投手である。

 5番・藤本悠希から先制適時打を許すが、2回裏、5番・下新井田直也の本塁打で同点。さらに3回裏、2番・伊東凌功、3番・佐久間康祐の連続適時打で勝ち越しに成功する。

 4回裏、さらに千葉黎明は一死から二者連続四球と死球から満塁のチャンスを作り、1番・江川岳の中越え適時二塁打は走者一掃となり、6対1と大きく点差を広げる。

 成東の2番手右腕・丸山陽太は打たれたとはいえ、なかなかの好投手だった。まず投球フォームを注目すると、左足を下ろすときに、左腕のグラブを斜めに伸ばして半身にした状態から投げ込む。そのストレートは常時130キロ中盤~130キロ後半(最速140キロ)を計測。しっかりと腕が振れているので、かなりの球威があり、詰まらせるほどの威力がある。さらに120キロ中盤のスライダーの切れも良く、好投手だった。

 丸山は入学から食事トレーニング。1日2リットルのごはん、補食などを行い、トレーニングも意識高く取り組み、入学から20キロ近くスピードアップ。この春には最速142キロを計測し、ときには打撃練習で金属バットを折ってしまうほどの威力があるという。捕手の岡崎柊也はスライダーの切れ味の良さも絶賛する。「入学からスライダーの切れ味が良くて、ストレートの球速アップによりさらに良くなった感じがします」。今年にかけていたが、コロナにより長期自粛となり、やせてしまい、現在は173センチ62キロ。なんとか間に合わせて準備をしてきた。


 千葉黎明は6回以降から左腕・田中葉琉、右腕・岡澤 剣士郎の継投リレーをしていたが、8回表、岡澤が3番・ 岡崎柊也の適時打で2点を失われたところで投手交代。今年の投手陣の中心である篠塚太稀(市川リトルシニア出身)が登板する。

 右スリークォーターから常時135キロ~137キロの直球、120キロ前半のスライダーを投げ分け無失点に抑えると、9回にはエース・千葉が登板。千葉は左スリークォーターから常時135キロ~139キロのストレート、120キロ前半のスライダーを投げ分け無失点の好リリーフ。昨年よりも体が大きくなったことで、ボールの威力も出てきて力強い速球を投げ込んでいる。千葉黎明がブロック決勝進出。県ベスト16入りを果たした。

 千葉黎明の鵜沢監督は「継投は予定通りでしたが、その中でも先発の伊藤は良く投げてくれました。彼は入学から本当に努力してここまで成長した投手です」と先発の伊藤をたたえた。ブロック決勝へ向けて篠塚、千葉の両投手を少ない球数で収められたのは大きかった。

 敗れた成東だが、エース・丸山のポテンシャルは素晴らしいものがあり、将来性も非常に高い。取り組む姿勢は良く、大網の自宅から自転車で通い、いつも夜遅くまで自主練習をしているという。本人も次のステージで続けたい意向だという。成東といえば、甲子園出場に導いた押尾健一投手(元ヤクルト)がいる。ぜひ押尾氏に続き、プロから注目される投手になってほしい。

(記事=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.27

【京都】龍谷大平安、京都成章、北嵯峨などが2次戦進出戦に挑む<春季大会>

2024.04.27

【大阪】3回戦は28日に大阪桐蔭、履正社が登場、29日には上宮-関西創価など<春季大会>

2024.04.27

横浜に入学した「スーパー1年生5人衆」に注目せよ! 佐々木朗希二世、中学日本代表の二刀流など明日の慶應戦で活躍なるか!?

2024.04.27

【広島】広陵は瀬戸内と、広島商は崇徳と夏のシードをかけて激突<春季県大会>

2024.04.27

【滋賀】シードの滋賀学園、彦根総合が登場<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.22

【九州】神村学園、明豊のセンバツ組が勝利、佐賀北は春日に競り勝つ<春季地区大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!