信太vs汎愛

　「最高です。歴史を変えようと選手たちはいってきました」
　試合後、信太の若き指揮官・定勇吾監督は晴れやかな表情を見せた。

　[stadium]大阪市南港中央野球場[/stadium]で行われた信太と汎愛の5回戦は、延長タイブレークまでもつれる熱戦となったが、信太が競り勝ち準々決勝進出を決めた。信太のベスト8入りは、チーム至史上最高の成績だ。

　信太の先発マウンドに立ったのは、エースの澁谷拓弥。140キロを超える速球と多彩な変化球が持ち味の右の本格派右腕だ。
　序盤に2点の先制点をもらった澁谷だが、「変化球が浮いたり、真っ直ぐが伸びていなかった」と話すように、4回には満塁から代打・西草太郎にタイムリースリーベースを浴びて逆転を許す。

　それでも味方の援護も受けながら9回まで投げ抜いて、5失点でマウンドを降りる。澁谷自身は満足のいく投球ではなかったようだが、才能の片鱗は見せた。

　一方の汎愛も、3対2と逆転に成功した直後の5回からエースの児玉大輝をマウンドに送る。
　長い腕をコンパクト使い、伸びのある直球を投げ込む児玉。リリーフとしての立ち上がりはボールが高めに浮き、二死三塁から4番の河内佑太朗にレフト前タイムリーを浴びて同点とされるが、その後の6回、7回は安定した投球で信太打線を押さえ込んでいく。

　両チームのエースの力投により、試合は終盤までもつれにもつれた。

　5対4と汎愛1点リードで迎えた9回表、信太は二死一、三塁から4番・河内のライト前タイムリーで同点に追いつくと、延長タイブレークに突入した10回表にも8番・上田凌大のセンター前タイムリーなどで2点を追加する。

　勝ち越しに成功した信太は、10回裏からは背番号8の田村天空が登板して落ち着いた投球で試合を締める。激戦の末、7対5で汎愛を下しベスト8入りを決めた。

　これで信太は準々決勝では、昨年の夏に全国制覇を成し遂げた履正社と対戦することが決まった。
　強大な戦力に立ち向かっていくことになるが、信太に怯みは全く無い。

　9回まで力投を続けた信太のエース・澁谷が「同じ高校生なので名前負けしたくない。必ず勝ちたい」と力強く話せば、定監督も「強いとは思っていますが、勝ちにいきたいと思います」と強く意気込む。

　全国屈指の強豪を相手にどんな戦いを見せるのか注目だ。

（記事＝栗崎祐太朗）