試合レポート

日体大柏vs市立柏

2020.08.07

プロ注目右腕・箱山優人だけではない!日体大柏は「6本の矢」を誇る強力投手陣で独自大会頂点を目指す

日体大柏vs市立柏 | 高校野球ドットコム
箱山 優(日体大柏) *写真は2018年秋季千葉大会 敬愛学園戦より

 日体大柏vs市立柏と柏市を代表する実力校同士の一戦。

 日体大柏はエースで4番の箱山 優が注目される試合となったが、投手陣が実力の高さを発揮した試合となった。

 まず先制したのは市立柏。3回表、日体大柏・箱山から9番小岩の適時打で1点を先制。

 しかし4回裏、日体大柏は反撃開始。ここまで口火を切ったのは3番川西 拓海(忠岡ボーイズ出身)の右前安打でチャンスを作り、4番箱山が内角球を引っ張り、ライトの頭を超える二塁打を放ち、チャンスを作る。

 そして二死から6番草薙 健太の適時打、8番齋藤 耕太の適時二塁打で4対1と逆転に成功。8回裏にも相手のミスをついて4得点。8点を入れた。

 先発の箱山は右スリークォーターから常時130キロ~136キロ(最速138キロ)の速球、120キロ前半のスライダーを投げ分け、5回1失点6奪三振の快投。内外角の投げ分けがしっかりとできており、リードする川西も「請求も良く、ストレートも良かったです」と評価。特に4回表に最速138キロを計測したときに見逃し三振を奪ったが、そのストレートは川西も「ベストボールに入る1球でした」と振り返った。このままいけば、箱山は完投ペースと思いきや、6回から継投策に入った。


 2番手に左腕の伊藤 創太がマウンドに登った。伊藤は昨秋の東葛飾地区大会優勝に貢献した最速143キロ左腕。努力して勝ち取ったポジションだった。実際に130キロ中盤の速球、曲がりが鋭いスライダーは勢いがあり、ストレートは回転数が高く、球速表示以上に勢いを感じさせる投手だった。2回を投げて無失点の好投。

 伊藤は潜在能力の高さを感じさせる投手で、大学に進み、体づくり、メカニズムのレベルアップが上手く実現できれば、140キロ中盤~後半も期待できる躍動感のある投球フォームだった。

 さらに3番手は最速139キロ右腕の宇田川 飛鳥が登板。この試合では130キロ前後の速球とスライダーを投げ分けたが、ばらつきがあり、8回二死の場面で、最速143キロ右腕の菅谷 大紀が登板。上半身の力が強く、腕の振りの力強さが光る投手で、常時135キロ前後(最速136キロ)の直球を中心にねじ伏せた。

 そして9回表、左サイドの山崎 大樹が5番手として登板。山崎は高校生にしては高度なレベルを持った左サイドで、常時130キロ中盤(最速133キロ)の直球、スライダー、ツーシームを投げ分け、簡単に打ち崩せないものがある。体の使い方が実にシャープだ。伊藤太一監督によると二度の負けが彼を強くしたという。

「まず2年夏の専大松戸戦で打ち込まれ、そして2年秋の東葉戦ではサヨナラデッドボールを与えています。そういう悔しさをばねに取り組んできましたらここまで伸びたと思います」

 またこの試合で登板がなかった右サイド・滝口己太郎も最速135キロながらスライド気味の変化する直球が持ち味。スライダーの切れも良く、プレートをうまく使って右打者から背中越しからくるような球筋で投げる。昨秋の東葉戦でも好投を見せており、投手陣の力量、人材の豊富さは千葉県内でもトップクラスといえるだろう。

 箱山以外にも多くの投手が出てきたきっかけは昨秋のことだ。1年生から投げてきた箱山の調子が上がらず、他の2年生5投手が投げる機会が必然的に訪れた。その結果、2年生投手たちは自覚をもって必死に練習し、伊藤監督も認める成長を果たした。

 さらに成長のきっかけとなったのは練習試合で常に小刻みな継投を行っており、登板があることが分かれば、投手はしっかりと準備をする。意欲をもって取り組んでいることが成長につながっているのだ。

 

 伊藤監督は「新時代ではないですけど、継投策は大事にしていければと思っています」

 

 プロ注目の箱山を含めた「6本の矢」で目指す代替大会頂点を目指す。

(記事=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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