大府vs半田
大府、「知多の雄の座は譲らぬ」とばかり、地力示し半田を粉砕
大府・木村空君
今大会はベスト8までは地区ごとの戦いとなっていたが、知多地区ブロックは4回戦から一部名古屋地区の学校と当ることとなっていたが、そこに待っていたのは昨春のセンバツ優勝校の東邦だった。
ところが学校でコロナ感染者が出たということで大会出場辞退となってしまい、半田が不戦勝という形になった。
半田の後藤浩介監督は、「東邦の悔しい思いも背負いながら戦わなくてはいけない」という覚悟を持ったという。
大府は、知多地区唯一の甲子園出場実績のある学校で、その意地とプライドもある。大府の野田雄仁監督としても、「この場面で東邦と当ることをイメージして、その壁を破らなければいけないということを一つの目標としてきた」という思いである。
そんな両校が知多の雄を競うベスト8進出の争いとなった5回戦である。
半田は初回、大府の先発木村君から死四球と重盗などで一死二三塁としたが、生かせなかった。
大府は2回に二死から失策の走者を置いて7番竹内裕人君が右越二塁打して先制。
3回にも一死二三塁から3番高柳君の犠飛とさらに連続四球で満塁として赤田君、竹内君の連打でこの回4点。大府が主導権を握った。
それでも半田も必死で追いかける。
2巡目となった5回に6番相武君が中前へ落すと、失策とバントなどで二死二三塁とする。ここで1番岩山君が右前打し1点を返す。さらに加藤凪君も続き2点目。なおも一三塁というところで、杉浦君が三塁線を破る二塁打で1点差と迫った。
大府の野田監督も、さすがにここで木村君を諦めて佐々木岳君を投入。佐々木君は右スリークォーターから130キロ中盤の速球を投げ込んでくる。半田は以降は抑えられることになる。
1点差とされた大府は取られた直後の5回に一死一二塁から当たっている竹内君が豪快に左翼席に打ち込む3ランで再び突き放した。
5回終了後のグラウンド整備を経て、18時を過ぎていたということもあり、照明塔も点灯されてナイター試合となった。
こうなると、低めのストレートに威力のある大府の佐々木君の球はますます打ち辛くなっていく。
そして8回、大府は9番に入っている佐々木君の二塁打に始まって武原君のスクイズ(記録は安打)にナイターに慣れていない半田に失策も出てしまい、3点が入って7点差となってコールドゲームが成立してしまった。
結果としては、大府が力の差を示し、「知多の王座は譲らんぞ」というところを示したとも言えようか。
半田の後藤監督も、「やはり、パワーの差、投手力の差は出てしまいました。特に、スピードのある投手に対しては、なかなか打ちきれませんでした」と完敗を認めていた。
それでも、「コロナと長雨で、思うように練習出来なかったり、試験との兼ね合いもありましたが、そんな難しい中で選手たちはよく頑張っていたと思います。(東邦の辞退により)不戦勝が決まった時には、この大会は自分たちだけの大会ではないということで、多くのものを背負っていく自覚が大切になると生徒たちにも話しました。生徒たちは、その気持ちでここまでよくやってくれたと思う」と、選手たちの頑張りを称えていた。
ベスト8進出を決めた大府。野田監督は、「5回の攻防が大きかった。守りでは追いつかれないで踏ん張れたこと、そして攻撃ではすぐに取り返せたこと。
これで相手に流れを渡さないで行けた」と試合のポイントを挙げた。
また、この大会の戦いについては、「東邦の辞退ということもあって、おこがましいかもしれませんが、辞退した東邦のことも思いながら、試合がやれることにいろいろな人に対しての感謝の気持ちを忘れないということ。
そして、辞退した東邦のことを思うことによって、改めてコロナに対しての注意事項や意識を高めていかなくてはいけないという気持ちも忘れないで欲しい」と、学校保健主事という立場でコロナ対策を発信していかなくてはいけないという役割もでもあり、そのことも生徒たちに伝えなくてはいけないという思いも語ってくれた。
(取材=手束 仁)