試合レポート

都立羽村vs都立久留米西

2020.07.25

都立に現れた最速136キロの大型左腕や中学時代9番サードから本格派右腕へ成長したエースなどタレント揃いの一戦に!

都立羽村vs都立久留米西 | 高校野球ドットコム
先発・武内風希(都立狛江)

 昨夏ベスト32の都立狛江と実力校・駒大高の一戦。選手の体格、きびきびとした身のこなしを見ても強いチームであることが分かる。シーソーゲームとしてもつれた一戦に。まず2回表、都立狛江が敵失から1点を先制。そして2回裏、駒大高が連打で逆転に成功すると、6回裏には駒大高の4番・山本航太の2点適時打、8回表には1点を返されたが、8回裏、駒大工は3番伊藤礼士の適時打で5対2と3点差へ。そして9回表に適時三塁打で1点を返されたが、駒大高が逃げ切り、初戦突破を果たした。

 ダイジェストで振り返っていったが、両校とも逸材が多い。

 まず都立狛江のエース・武内風希は181センチ86キロと恵まれた体格をした大型左腕で、テークバックが小さい投球フォームから繰り出す直球は最速136キロを計測するという。実際に常時125キロ~131キロを計測し、球質の重さを感じる。本人が得意と語る110キロ前半のスライダーでも多くの三振を奪うことができる。

 前半は何度もピンチを迎えながらも三振を奪って切り抜け、駒大高の川端監督も「夏から経験しているだけあって、投球の幅が広がったです。きめに行くストレート、そうではないときのストレート。緩急もつけるのがうまいですし、さすがでした」と相手監督も認めるほどの投球のうまさだった。さらにパワーも素晴らしく。8回にはあわや同点2ランという大飛球を放った。

 敗れはしたが、数字以上に威力あるストレートを投げることができており、ピッチングの駆け引きも上手い。本人は硬式野球継続を希望する。需要はある投手だろう。


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先発・勝俣琉(駒大高)

 そして3失点完投勝利の駒大高のエース・勝俣琉(3年)は180センチ73キロという体格から常時130キロ中盤(最速133キロ)のストレートは回転数が高く、空振りが奪える110キロ前半の縦スライダー、そのほかにもスライダー、カーブを投げ込む。ストレートの質、変化球の切れ味とともに精度の高いものがある。

 そんな勝俣は中学時代、軟式で9番サードで投手を始めたのは高校から。当初、高校野球をやるかも迷ったほどだというが、それでも父親から「身長が伸びているのでやってみたら」と勧められ、駒大高進学とともに野球部に入部。キャッチボール姿を見て、川端監督から「投げ方が良かったので投手志望だったので」ということで投手人生がスタートした。この3年間で取り組んだのが体づくり。入学当時、175センチ55キロととにかく細身だった勝俣は食トレで3年間で20キロ近く増量し、ストレートのスピードも大きくアップ。また自粛期間で、山本由伸(オリックス)の投球フォームを参考に腕の使い方、体重移動を見直した結果、しっかりとはまり、ストレートの球速、切れとともに大きくレベルアップに成功した。

 まだ伸び盛りで、140キロ超えも十分あり得る投手だろう。

 打者では1番駒場優太は小柄ながら下半身を使ったスイングができており、コンタクト力、スイングスピードも速い左の巧打者。脚力、守備を見ていても攻守でまとまったプレイヤー。

 3番ショート・伊藤礼太もそつのない動きを見せる遊撃守備と少しボールに角度をつけるアッパー気味のスイングで、鋭い打球を連発する右の巧打者。芯を食えば本塁打も期待できるほどで、進化が楽しみな選手だ。

(記事=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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