与勝vs南部商
与勝がコールド発進!
2020 年沖縄県高等学校野球夏季大会一回戦。与勝が打者二巡目で相手を捉え、7回コールドゲームで二回戦へコマを進めた。
斬り込み隊長が導火線となり先制
「自分たちの野球が出来ていなかったので、ずっと声を掛け合っていました。」主将、エース、そしてクリーンアップと三役を務める与勝又吉友保(ともや)は試合後、苦しかった序盤の胸の内をさらけだした。
自力で南部商に勝る与勝だったが、3回を終えノーヒット。相手のエラーで出た走者も、進塁後に刺され9人で終えていた。逆に南部商は2回、このイニング先頭の平良一綺がレフト前ヒットで出塁。次打者も見事送りバントを決めるなど二死三塁とすると、3回には9番山城彦希がヒット。
4回にも四球からの犠打で二死二塁と与勝を攻め立てた。そう、序盤は南部商が貢献しペースを握っていたのだ。「大きいのを狙うとか、野手の間を抜くとかじゃなく、後ろの打者へ繋ぐことを考えよう。」コロナ明けといい、夏の初戦といい、緊張するのは仕方ない。仲宗根寛史監督はやんわりと、ナインの力みを除く言葉を掛けた。そんな嫌な空気を切り裂いたのが1番上原優羽だ。
4回の2打席目。上原優羽の当たりはライトへ。相手が捕球し損ねたのを見た瞬間、上原優羽の脚がトップギアへ入る。県内有数のスピードスターは、一気に三塁を陥れた。斬り込み隊長の鼓舞がベンチに勇気を与える。照屋寛成、比嘉徳人と3連打が生まれると4番又吉和輝もキッチリと犠牲フライを上げ2点を先制した。
一気に5点を奪い勝負を決めた
与勝は5回、四球のあと8番長嶺颯太郎がライト前ヒットで続く。犠打を決めて頼りになる上原優羽へ。しかし、打ちたい気持ちをコントロールして四球を選び満塁。続く照屋寛成のショートゴロの間に三走が生還した。次打者の死球のあと、又吉和輝がレフトへ2点タイムリー。相手のエラーでもう1点を加えると、5番又吉友保にもタイムリーが飛び出し大量5点を奪い試合を決めた。
投げては先発の又吉友保が5回を投げ3安打4奪三振。二番手の照屋力斗に続き三番手の徳門礼人もノーヒットピッチング。「第一シードを相手に、三人の投手がどれだけ粘れるか。」仲宗根監督とナインの目は既に、強敵沖縄日本ウェルネス沖縄戦へ向いていた。
敗れた南部商だが、「ずっとレギュラーというわけではない野球人生だった。」と、南部商平良隆訓監督が語った左腕田端晃也の頭脳的ピッチングが光った。球速はお世辞にも速いとは言えない。しかし緩急を巧みに使い、110km台のストレートを120km台に見せることで、7回を投げ6安打4奪三振。マウントで見せる笑顔が印象的で、爽やかなナインだった。
(取材=當山 雅通)