試合レポート

常総学院vs水戸葵陵

2020.07.05

菊地、石川など常総学院の主力組が格の違いを見せ、連勝を飾る!

常総学院vs水戸葵陵 | 高校野球ドットコム
満塁本塁打を放った石川(常総学院)

【熱戦の模様をギャラリーでチェック!】

 本来であれば、常総学院vs水戸葵陵vs帝京の変則ダブルヘッダーが予定されていたが、7月4日、東京都が3日連続で感染者が100名超え。この事態により、東京都は都民に対し、不要不急の外出を控えるよう呼びかけ、帝京サイドはこの事態を重く見て、急遽、遠征を中止し、常総学院水戸葵陵とのダブルヘッダーとなった。

 常総学院は主力選手をメインで出すパターンと3年をなるべく使う試合を設けており、第1試合は控えの3年生を多く起用した。先発マウンドに登ったのは菊地竜雅一條力真のダブルエースに次ぐ実力派右腕・江幡大輝。東京神宮シニア出身の江幡は外野手を兼任していたが、常総学院入学から投手としての力量を大きく伸ばしてきた。最速141キロといわれる直球はこの試合で、常時130キロ~135キロほどだが球速表示以上に勢いを感じさせ、打者の膝元に強いボールを投げられるのが長所。本人も「コントロールには自信があります」と語るように、常にストライク先行ができるので、見ていて安心ができる。ストレートのほかには、120キロ前後の曲がりが小さいスライダーも得意としており、このボールで内野ゴロに打ち取るなど技巧派右腕として存分に実力を発揮。5回1失点の好投を見せた。

 佐々木監督も江幡の好投を高く評価していた。また江端は野手としての才能も高く、野球センスの高さが光る逸材だ。

 ただ6回裏、水戸葵陵打線が遊撃手を兼任する成瀬 諒を攻め立て、5番澤畑の適時打、6番高橋の2点適時打で、一気に逆転に成功する。

 常総学院はなかなか一打が出ず、8回表を迎え、一気に主力打者を代打に投入。

 まず満塁のチャンスから代打として登場した主将・中山の押し出し四球で同点に追いつくと、代打・石川光の適時打で同点に追いつく。

 9回表も満塁のチャンスを作り、8回表に同点適時打を放った石川が左中間へ勝ち越し満塁本塁打。実は対外試合初本塁打。それが信じられないほどの豪快な打球だった。


常総学院vs水戸葵陵 | 高校野球ドットコム
好遊撃手・佐々木俊輔

 石川はこの冬の期間で75キロから87キロと12キロの増量に成功。筋力トレーニングと食トレの成果が実り、打撃スタイルも目いっぱい振っていたものから力まず軽く振るようになったことで、対応力も高まったという。ちなみに石川は2016年の甲子園メンバー・石川大(創価大)の弟。自粛期間中は夜8時就寝朝4時起床の生活を送り、兄と一緒にトレーニングを行い、指導を受けてもらったという。

 佐々木監督は「兄と同じく気持ちを表に出せる選手です。中学時代からスラッガーとして活躍していた選手ですが、ようやくその片鱗を見せてきました」と高く評価をしていた。

 第2試合は主力選手がスタメンを連ねた。3回裏、5番小木曽星音が内角スライダーを捉えて3ランを放つなど4回まで8対0。そしてエース・菊地竜雅は雨天でコンディションが悪い中でも、ストレートの球速を抑え、最速140キロだったが、丁寧に投げ分け、4回までパーフェクト、5回に2本の安打を打たれるが、後続を抑えて、5回を投げて、7奪三振、無失点の快投。

 雨が強く降り続いており、第2試合は5回で打ち切り、常総学院が8対0で勝利した。

 試合後、佐々木監督は「主力選手はすぐに投手をつかまえて打ち崩せる。逆に控えの3年生は捉えるまでに苦労していました。そこがレギュラーとそうではない選手の差だよということは伝えました。逆にいえば、レギュラーが控え選手にお手本を示すぐらい、仕上がりは良いといえます」と投打の仕上がりの良さを評価した。

 シードで迎える常総学院は11日、12日に練習試合を行い、大会を迎える。

 一方、敗れた水戸葵陵も攻守の中心である佐々木俊輔主将は、クレバーさが売りのショートストップで、ヒット性の打球を正面の遊ゴロで処理するポジショニングの良さを見せ、さらに第1試合では好投手・江幡から二塁打を記録。攻守の総合力の高さ、意識の高さを見ても、夏の注目野手に挙げてもおかしくないぐらいの技量を持った選手だ。身体が大きい選手は少ないが、佐々木を筆頭にミート力が高い選手が多く、つながった時の集中打が怖いチームだ。

 

(取材=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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