明徳義塾vs徳島北
徳島北「明徳義塾戦、公式戦3連敗」から立ち上がる
明徳義塾vs徳島北 6-回表明徳義塾二死一・二塁から適時打で3点目のホームを踏んだ8番・寺﨑元輝(2年・左翼手)
「自分の力不足でみんなの目標だったセンバツをダメにしてしまいました」。試合後、記者たちの前でこう話すと、徳島北のエース・4番・主将を務める河野 勇真(2年・右投右打・175センチ78キロ・徳島藍住リトルシニア出身)は声を詰まらせた。
徳島北にとって2016年秋、今年春に続く四国大会出場初戦はいずれも明徳義塾が相手に。過去2戦は1対13、1対8で明徳義塾のコールド勝ち。秋の県大会初制覇により、県内史上9校目となる徳島商・鳴門・鳴門一(現:鳴門渦潮)・徳島池田・鳴門工(現:鳴門渦潮)・小松島西・新野(現:5623)・小松島に続く「春・夏・秋」県大会王座を経験し、いよいよ県内強豪から四国強豪へのレベルアップを図る徳島北にとっては、組み合わせ抽選会時から「明徳を倒したい」と話していた河野だけでなく、誰もが待ち望んていた試金石であった。
しかし前日の小松戦に続き、この日も明徳義塾は賢く試合を進めた。「スライダーを見極めてストレートに的を絞る」馬淵 史郎監督からの指示を選手たちが体現。初回はダブルスチールで揺さぶりをかけながら4四死球を選んで先制すると、河野に対し5回で95球を投させることに成功。
そして彼らは4回表二死二塁から2番・合田 涼真(2年・三塁手・175センチ68キロ・右投右打・伊予三島リトルシニア<愛媛>出身)の左前勝ち越し適時打に続き、6回表には合田の適時打、3番・鈴木 大照(2年主将・捕手・170センチ68キロ・右投右打・河南リトルシニア<大阪>出身)の左翼線2点二塁打で3得点。あとは6回で125球を超えた河野の球威が落ちたボールをことどとく打ち込んで計12安打8得点を奪った。
ただ、徳島北も収穫がなかったわけではない。河野は自己最速タイとなる142キロを出しつつ2回から5回まではスライダーを巧みに使い今後のスタイル形成に光明が見える176球完投。打線も「相手投手はコントロールがいいのでインコースに張って習っていた」古川 壱翔(2年・遊撃手・170センチ63キロ・右投左打・藍住町立藍住中出身)の右翼芝生席中段に突き刺す高校通算2本目の先頭打者アーチ含む8安打。明徳義塾・新地 智也(2年・175センチ70キロ・左投左打・岡山ヤングメッツ<岡山>出身)が「味方の守備に助けられた」とつぶやくほど、鋭さを有していた。
「河野の魅力もある程度は出たし、いい経験になった」(徳島北・住吉 圭吾監督)。あとは9イニングを戦った中で感じたことをいかに練習で消化し、結果につなげていくか。「明徳義塾戦、公式戦3連敗」のリベンジは春の四国大会であるかもしれない再戦、そして2020年夏・11年ぶり2度目の甲子園出場で晴らすのみである。
(文=寺下 友徳)