東京実vs都立雪谷
大田区東急沿線近隣対決は、東京実が粘りの守り勝ちで雪谷下す
最後、きっちり抑えた東京実・佐藤翔君
大田区の、しかも東急池上線沿線の近隣同士対決である。東京実は、グラウンドが多摩川の河川敷にあるのだが、先の台風19号の被害によって、瓦礫で埋め尽くされてしまっており、ほとんど年内は使用不可能という状態に陥っているという。もっとも、当初の予定から今年の12月にはグラウンド改修予定が入っていたという。ただ、この大会へ向けての練習はグラウンドでは出来ない状態で、さまざまな伝手を使いながら使用出来るところを探しながら練習していくということである。
そんな東京実だったが、近隣対決を制して次へ進むこととなった。
試合は前半にお互いに細かく点を取り合った。その取り合いでのリードを東京実がそのまま西国―間でキープして逃げ切った。
2回、東京実は3四球で満塁となったところで8番神谷君が左越二塁打を放って2者が帰る。さらに3回にも先頭の2番関口君が左前打で出ると、けん制悪送球で三塁まで進み、二死後越智君の一二塁間を破るしぶとい安打で3点目。
追いかける雪谷はその裏、9番の小澤僚大君がバント安打で出ると、盗塁と悪送球で三塁まで進む。西原君の遊ゴロの間に本塁に帰ったのだが、これはまさに脚で稼いだ1点だった。
しかし、東京実はすぐに4回、四球の田中君を神谷君が2打席連続の二塁打で帰し、さらにバントで三塁へ進むと、1番原君の中犠飛で帰って5点目。再び雪谷が突き放していくのだが、雪谷も追いかける。
4回の雪谷は四死球で一死一二塁となったところで、7番小澤滉大君が中前へはじき返してこれが適時打となって二走を帰す。しかし、この回はこの1点止まり。
さらに5回は1番からの好打順で西原君が左前打しバントで二進後、四球と齋道君の右前打で満塁。5番杉﨑君はじっくり見て四球を選び押し出しで2点差。雪谷としては、ここでさらに続いていきたいところだったが、ここから玉村君も何とか凌いで2点差のまま後半戦へ入っていった。
6回からも、お互いに辛抱の試合というか、守りでの粘り合いという展開になっていった。東京実は7回途中から早川君をつぎ込み、さらに9回は抑えとして佐藤翔君が中堅からマウンドに登って、先頭の西原君には死球穂与えながらも、盗塁死もあって結果的には3人で抑えて何とか逃げ切った形となった。
東京実は9四死球、雪谷は8四死球を選んだ。というよりも、どちらも投手がやや制球が落ち着かないというところもあって、絶えず塁上を賑わしているという試合になってしまった。反省点も多い試合でもあったのだろうが、それでも何とか勝った東京実の山下秀徳監督は、「厳しい試合でしたね。投手が、四球を出し過ぎですね」とまずは反省の弁。
「もうちょっと、どっしりとして戦っていけばいいんでしょうけれども、なかなか出来ないんですね。それでも、こうして試合をしていきながら成長していくんでしょう」と、次の戦いを得られたことで前を向いていた。
雪谷の芝浩晃監督は、「すべてにおいて、ちぐはぐでしたね。最初の点の取られ方がよくなかったです。ポイントとしては5回の満塁でしょうか。ベンチの雰囲気は相手よりもいいと思っていたんですけれども…。そこで押し出しの1点だけでしたからね。逆に安打5本で5点取られていてはしょうがないですよ」と残念がった。
「ひっくり返せるチャンスをしっかりとモノにしていけるチームにしていかないといけない」と、チームとしての粘り強さを作っていくことをまずは来春へ向けての課題としていた。
(文=手束 仁)