成田vs東京学館船橋
壮絶な打撃戦を制した成田 双方に野手の逸材が集結!
秋元(千葉商大付)
東京学館船橋は16安打8得点、成田は12安打9得点。両チームの野手の持ち味が良く発揮された試合で、チーム別で紹介をしていきたい。
■東京学館船橋
16安打の東京学館船橋。その中でピックアップしたいのは、2番石井寛人(1年)、3番須藤海人(2年)、4番町田蓮太郎(2年)だ。3番・須藤はいきなり先制適時打。スクエアスタンスで構え、ゆったりと構えながら打ちに行く。前捌きでボールをとらえ、鋭い打球を飛ばしている。また遊撃守備もスピードがあり、持ち替えの速さが魅力だ。2番・石井は4回表に二死満塁のチャンスから走者一掃の適時二塁打を放つなど小柄ではあるが、パワフルな打撃が光った。町田もいきなり三塁線を抜ける安打を放つなど、2安打の活躍。恵まれた体格から振り幅が大きいスイングで長打を打てる選手だった。
■成田
今年の成田は3番・松本憲信、4番古谷将也の両スラッガーが注目されるが、期待通りの活躍を見せてくれた。
まず松本。3点を先制された直後の1回裏、一死二塁の場面で左中間を破る適時三塁打。少しスタンスを広げて、まるで丸佳浩のように押し込んでいきながら、左中間深くに飛ばした打球の速度はすさまじいものがあり、来年のドラフト候補に相応しいものがあった。そして9回表にも、逆方向に流し返してチャンスを作った。
そしてサヨナラ3ランを放った古谷。9回裏、緊張がかかる場面で、甘い球を逃さない集中力は素晴らしいものを持っている。ただ遊撃守備はまだまだ磨く必要があり、もともとサードをやっていたためか、待って取りに行く姿勢が強すぎる。それでも刺してしまう肩の強さは見事だが、タイプ的には三塁のほうが生きるタイプだ。
古谷は全国レベルの捕手として注目してよいのではないだろうか。まずスローイングタイム1.9秒台の強肩は成田からプロ入りした田宮裕涼より上回っている。今年の成田投手陣は突出した力量を持った投手がいないためリードするのは難しいと思うが、危機管理能力が長けたリードをできるようになっていきたい。
そしてサヨナラ3ランを放った場面を振り返ると、外側の甘いボールを振りぬいた豪快な打撃だった。
この2人に負けない活躍を見せたのが1番・吉田涼太だ。第2打席で右中間へ二塁打を放つと第3打席、第4打席は三塁打を記録し、5打数3安打の活躍。第4打席の三塁打のタイムは11秒79。しかも三塁手前で少し緩めてこのスピードなのだから恐れ入っる。吉田はスクエアスタンスで構え、トップを浅く取りながらも、手首が捏ねることなく、膝を使って、ボールの下側を振りぬく打撃は魅力的だ。小手先ではなく、長打が打てる打ち方をしているので、鍛えていけば、本塁打も打てる可能性も秘めている。
(記事=河嶋 宗一)