桐光学園vs慶應義塾
3対1のスコア以上に野手のレベルの高さが見られた熱戦!
安達壮汰(桐光学園)
桐光学園vs慶応義塾と2018年の北神奈川大会決勝戦以来の対決は0対1で迎えた6回裏、桐光学園が3点を入れて逆転に成功。エース・安達壮汰(2年)が1失点完投勝利を収め、ベスト8進出を決めた。
今年の神奈川で最も熾烈なブロックに入ったといえば、桐光学園だろう。初戦では横浜隼人、3回戦では鎌倉学園。そして慶應義塾といずれも強敵だ。先発マウンドに登ったのはエースの安達壮汰。しかし立ち上がりはぴりっとしない。右腕のグラブを高く掲げ、インステップ気味に踏み出すフォーム。ぎくしゃくした流れに見え、力みが入ったフォームで、リリースポイントも安定せず、力任せなところがある。立ち上がりはそのフォームの悪い点が出てしまい。いきなり先制打を浴びてしまう。
その後は立ち直り、威力ある135キロ前後の直球(最速136キロ)のストレート、120キロ中盤のスライダー、チェンジアップを低めに集め、要所を締めるピッチング。たびたび制球を乱し、打ち取りたい場面で自分のボールを投げられず、安達としては納得いかないピッチングだっただろう。それでもこれまでの経験値の高さを生かし、1失点に抑えたピッチングは見事。あとは自慢の打撃も、安達らしい豪快なスイングと打球が見られなかった。今後の試合へ向けて、いかに調子を取り戻せるかだろう。
安達以外では逆転の走者一掃の適時二塁打を放った内囿光人(1年)について取り上げたい。内囿は世田谷シニア時代は昨年3月リトルシニア全国選抜野球大会の優勝に貢献し、最優秀選手賞も獲得している。スイングの鋭さ、打球の鋭さはとても9番打者とは思えないほどレベルが高い選手だった。スクエアスタンスで構え、バックスイングを小さくとって振り出すスイングは無駄がない。二塁守備もそつがなく、いずれは上位打線を打っていてもおかしくない力量を持った選手だった。
また2番・森田翔も面白い選手。春までライトを守っていた選手で、強肩ぶりが気になっていた選手だった。レフトを守る森田は外野へ抜けそうな打球を好捕し、安達を盛り立てていた。またレベルスイングで振りぬく打撃も非凡なものがあり、第1打席は左中間を破る二塁打、4回裏も初球を引っ張り左前打と、打撃の内容が非常に良く、2番打者としてはかなり高レベルな選手だった。
敗れた慶應義塾。6回二死まで無失点の好投を見せた前田晃宏だけではなく、好野手は多かった。1番・第1打席から二塁打を放ち、第2打席も森田のファインプレーに阻まれたものの、痛烈な左飛を放ったほぼしっかりと捉える打球が多かった1番センターの佐藤は走攻守三拍子揃った逸材。昨年からクリーンナップを務める本間颯太朗は自分の間合いで打てる選手。どんな場面でも手元までボールを呼び込み、ヒットゾーンに打ち返す打撃技術の高さは秀逸。非常にレベルが高い選手だった。
慶応義塾は打者の能力の高さに割に点が取れない攻撃内容が課題。春、夏までに磨かれてくれば、手が付けられない打線になる予感はある。
(文=河嶋 宗一)