作新学院vs筑陽学園
9年連続出場の作新学院はお得意の速攻撃、機動力で延長戦を制する!
石井巧(作新学院)
9年連続出場ですべて初戦を取っている作新学院。1番福田真夢が口火を切った。初球の141キロストレートを叩いて痛烈な中前安打。その後、無死満塁のチャンスを作り、犠飛で1点を先制した。この1点、筑陽学園のエース・西舘昂汰のリズムを狂わせるには絶好の1点だった。
筑陽学園の正捕手・進藤勇也は、「ブルペンからストレートは走っていて結構いけるかなと思った時にあの攻撃で、西舘もあれ?と思ったかもしれません。あそこからごまかしのようなピッチングになりました」
立ち上がり、西舘はたびたび140キロをを計測していて、センバツよりも速さを感じたが、作新学院のしつこい攻めに遭って、135キロ前後にとどまっていた。
筑陽学園のバッテリーのリズムを崩した福田は3安打3盗塁の活躍。重心を低くして、インサイドアウトでスイングができており、ボールをとらえるセンスは良い。
「僕は履正社さんの1番打者のような本塁打を打つ打撃はできないですけど、足でかき回す攻撃をしていきたい。盗塁、走塁の練習は何度も繰り返してきました」
10回表、福田は三盗を成功させたが、あれはエンドランのサインだった。
「エンドランでも打者が空振りしても、盗塁を成功させるのは練習でやってきたことなので、練習通りのプレーができました」と胸を張る。
作新学院はスラッガーはいなくても、野球を知っていて攻撃力が高い選手が多いのは大きな強み。9連覇できるのもうなづける内容だった。
また作新学院のエース・林勇成のピッチングが光っている。9回二死まで筑陽学園に1失点の好投。武器は緩急が効いたピッチングだ。
左腕のグラブを高く掲げ、軸足にしっかりと体重を乗せて、真上から振り下ろすオーバーハンド。常時130キロ中盤~135キロ前後だが、ストレートは角度があり、両サイドに投げ分けができている。そのストレートと110キロ台のカーブの落差が鋭い。浮き上がりながら落ちていく軌道を描き、次々と空振りを奪う。この使い分けが絶妙だった。今はスライダーや球速が速い縦系の変化球で勝負する投手が多い中、球速差のあるカーブで勝負する林の投球スタイルは新鮮さを感じる。
昨年から目に見えて球速が伸びたわけではないが、投球のバリエーションはかなり成長が見えている。
完投勝利した林は「切れのあるストレートは自信があり、それは全国の舞台で出せたかなと。次の試合でも発揮していきたいと思います」と意気込みを述べた。
主将でショートストップの石井巧はバウンドの合わせ方が絶妙で、強肩。当てる能力も高く、鋭い打球を飛ばしていく打撃は見事だった。
[page_break:両チームの個人成績表]両チームの個人成績表
作新学院 小針監督 延長10回表、福田の三盗はエンドランでした。打者は当ててほしかったですけど、空振りになってしまい、福田はよく走ったなと感じています。
(記事=河嶋 宗一)