試合レポート

山村学園vs大宮東

2019.07.28

山村学園、6度目の挑戦で初勝利、コールドで初の決勝進出!

 Bシード・山村学園が春・夏・秋を通じ6度目の挑戦でついに準決勝の壁をこじ開け初の決勝進出を決めた。

 先発は大宮東がエース島村大樹(3年)、一方の山村学園はエース和田朋也(3年)ではなく1年生の小泉裕貴(1年)が登板し試合が始まる。

 序盤は互角の展開であった。

 先制したのは大宮東であった。初回、山村学園・小泉の立ち上がりを攻め、一死から2番・増田晟也(2年)が四球を選び出塁すると、続く熊木寛大(3年)がサード前にセーフティバントを決め、一死一、二塁とチャンスを広げる。二死後、5番・島村がライト線へタイムリー二塁打を放つ。島村は一気に3塁を欲張りアウトになるが、まずは大宮東が幸先良く2点を先制する。

 だが、山村学園も2回表すぐに反撃を開始する。

 一死から、6番・成田航大(2年)がショートへの内野安打を放ち出塁すると、続く橋本大樹(3年)もレフト前ヒットを放ち一死一、二塁とする。さらに、相手のワイルドピッチでそれぞれ走者を進めると、山村学園ベンチは早くも初回で先発・小泉を諦め、代打にエース和田を送る。ここで、和田が死球を選び一死満塁とすると、続く川島優(3年)も押し出しの死球を選びまず1点、さらに、1番・平野裕亮(2年)の内野ゴロの間に三走・橋本が本塁生還し、2対2の同点とする。

 同点とされた大宮東はその裏、この回からマウンドに上がった山村学園・和田の立ち上がりを攻め、二死から8番・小関駿介(3年)のファーストゴロを相手がトンネルし出塁すると、続く橋本詞温(3年)も四球を選び、二死一、二塁とする。ここで1番・佐藤亮太(2年)がレフト前タイムリーを放ち1点を勝ち越すが、今度は一走・橋本が二塁をオーバーランした所を、キャッチャーに狙われ刺されてしまう。

 1点を勝ち越された山村学園もすぐに反撃を開始する。3回表、この回先頭の小林匠(3年)がレフト前ヒットを放ち出塁すると、続く櫻澤一哉(3年)がきっちりと送り一死二塁とする。二死後、6番・成田はサードゴロに倒れるが、サードが一塁へ悪送球を放り、山村学園はラッキーな形で3対3の同点とする。

 エース島村が投げているうちに何とか突き放したい大宮東はその裏、この回先頭の増田がセンター前ヒットを放ち出塁する。だが、続く熊木の送りバントはサードのチャージを受けたことで併殺に終わり、後続も倒れ無得点に終わる。

 大宮東は走塁ミスに、守備のミス、そしてバントの失敗と、これだけミスが続くと流れは山村学園に傾く。

 4回表、山村学園はこの回先頭の和田がライト前ヒットを放ち出塁すると、続く川島がきっちりと送り一死二塁とする。ここで1番・平野がピッチャー強襲のタイムリーを放ち島村をマウンドから引きずり降ろし、この試合初めてリードする展開となる。

 一方の和田は、尻上がりに状態を上げ、3回以降は大宮東打線を無失点に抑える。

 試合のペースを握りたい山村学園は5回表にも、2番手・澤田凌太郎(3年)を攻め、この回先頭の櫻澤がセンター前ヒットを放ち出塁すると、続く高野(2年)がきっちりと送り一死二塁とする。ここで6番・成田がセンター前タイムリーを放ちまず1点、さらに二死後、8番・和田の所で山村学園ベンチはエンドランを仕掛ける。ここで和田は期待に応えレフト前ヒットを放ち、二死一、三塁とチャンスを広げた所までは良かったが、和田が右足を痛め試合が中断する。中断後、続く川島はショートゴロに倒れたのだが、ショートは一塁へ悪送球を放り6対3とする。

 大宮東はこの場面、一走・和田は応急処置を受けた直後でまだ足を引きずっている状態であった。最初から二塁封殺を狙えば、アウトにできるタイミングであっただけに実にもったいない状況判断であった。


 5回表の2得点で3点差をつけ完全に流れを掴んだ山村学園は、6回表にも3番手・杉山拓己(3年)を攻め、二死から5番・高野がセンター前ヒットを放つと、その後も6番・成田、7番・橋本、8番・和田と三連打が生まれ8対3とし試合の大勢は決した。

 山村学園はその後も攻撃の手を緩めず、7回表にも、4番手・河内(2年)、5番手・平沢大海(3年)に対し、この回先頭の平野がライト前ヒットを皮切りに、3番・小林、4番・櫻澤が連続タイムリー二塁打を放つなど10対3としコールドペースに持ち込む。

 投げては、途中右足を負傷しながらも3回以降は大宮東打線を封じた和田、最終回は河部直樹(3年)へとつなぎ彼も無失点で切り抜ける。

 結局、大宮東投手陣に対し16安打10得点を奪った山村学園が10対3の7回コールドで大宮東を下し決勝へと駒を進めた。

 まず大宮東だが、これまで安定した守備とタイプの違う投手陣の小刻みな継投を武器に粘り強い戦いを見せていたが、この日は生命線である守備が乱れ、走塁ミスやバントミスも出てしまった。これでは勝てない。また、エース島村の指に打球が当たる不運もあった。序盤は互角の展開を見せていただけに、結局7回コールドで終わってしまったこの日の敗戦は痛恨であろう。これで投打の柱・島村はいなくなるが、幸いこのチームから佐藤、増田の二遊間コンビに4番・小河原など昨夏から出場経験のある2年生が多く残る。それだけに、まずは、今一度、強打の大宮東復活へ打線の強化と投手陣の整備、これが新チームのこれからの課題となるであろう。

 一方の山村学園だが、この試合できれば和田に長いイニングは投げさせなくなかった。というのも、明日の決勝の開始時間は10:00である。毎年言っていることだが、回復面を考えても、準決勝第2試合を勝ち上がったチームは非常に厳しいスケジュールとなる。明日の天気は台風の影響もあり開催が微妙だが、開催となり連戦となれば、この日右足を負傷してしまったエース和田がどれだけ肩の状態も含め回復するかが気になる所だ。とにかくゲームを作るためにも、強打の花咲徳栄打線に対し、和田がどんなピッチングを見せるかがすべてであろう。打線は16安打と好調を維持しているが、元々4番であった橋本の状態が気になる。彼が打たないとこれまた厳しい状況となるだけに彼の復活が打線の面で鍵となる。

(文=南 英博

2019年 第101回全国高等学校野球選手権大会埼玉大会
■開催期間:2019年7月10~7月28日(予定)
■組み合わせ表【2019年 第101回全国高等学校野球選手権大会埼玉大会】
■展望コラム【今年の埼玉は大混戦!シード校の戦力とシードを脅かすノーシードを徹底紹介!】

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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