試合レポート

箕面学園vs都島工

2019.07.07

負けにくいチーム。箕面学園が自慢の守備力を発揮し、無失策で初戦突破!

 春準優勝の箕面学園
「打つチームではないので、接戦になることは覚悟していました」と語る田中祥雄監督。振り返れば、春の大阪府大会では、最高得点は8。1点差ゲームが2試合、2点差ゲームが2試合と、いずれも綱渡りの試合展開だ。7回勝利したといっても、準優勝チームというおごりはない。
「春7回勝ったことは自信になりましたが、過信にはなっていません。能力的に見れば、うちは弱いチームだと思います」
と語る田中監督。そんな今年のチームの強みは「負けにくいチーム」ということ。

「これは練習試合をさせていただく多くの監督さんが話していただくのですが、そこは強みだなと感じます」
 負けにくいチームを生み出しているのは鉄壁の守備である。外野手はスローイングが強く、内野手は軽快な動きを見せる。地味に見えるが、全く後ろにそらす気配がない。なぜそれができているのか。

 それは普段の練習にある。守備練習では二死三塁、一死一、三塁を想定した練習を繰り返し行っている。少しでも緩みがあれば、1点を失う状況下の中で、選手はメンタルを鍛えながら守備力を高めてきた。この試合は箕面学園の守備力の高さが随所に光った試合だった。

 3回表に1点を先制されたが、3回裏に反撃成功。一死三塁のチャンスから2番山田雄輝(3年)はスライダーを拾って中前適時打で同点。3番中村 陸翔(3年)もスライダーをとらえ、右前安打。4番山本啓人(3年)は四球。5番藤田 篤生(2年)は遊ゴロで二死一、三塁。この間で1点を追加。6番石井 康晃(2年)は左中間を破る二塁打で4対1と点差を広げた。


 ただ苦しい試合展開は続いた。都島工のエース・戸嶋拓実は、120キロ前半のストレートとスライダーを丹念に投げ分ける右のサイドハンドで打ちにくく、またバックの守備も堅く、サードの常盤一翔は何度も好プレーを連発し、田中監督も「相手チームのサードがうまかった」と舌を巻くほど。さらに2安打を記録するなど打撃センスも高い。苦しい試合になることは予想していたが、都島工の選手たちの力量の高さはなかなかのものがあった。

 箕面学園のエース・石井は右スリークォーターから常時125キロ前後(最速128キロ)のストレートとスライダー、カーブを丹念に投げ分けるが、被安打を浴び、何度もピンチを迎える。そんな中、好守備を見せたのが主将で遊撃手の山本だった。

 この日の守備機会5回とも無失策。163センチ60キロと小柄で、スピード感があって、捕球してから投げるまでも速く。もともと外野手経験があるだけに、スローイングも強い。今年の近畿地区でも上級の守備力を持ったショートストップだ。何より二死からの場面でも落ち着いて守っている姿が印象的だ。山本は視野を広くすることがポイントだと語る。
「どうしてもアウトに取ろう、ボールを裁こうと思うと視野が狭くなると思って、そこで周りに声をかけながら、状況を読むことで視野が広く保って守ることができて安定感が出てきました」

それができるようになったのは今春から。つまり山本らの守備陣のレベルアップが今春の快進撃につながったのだ。状況を想定した普段のノックはプレッシャーがかかるもので、視野が狭くなりそうだが、「それは経験で強くなりました」と毎日のノックの積み重ねで強固な守備力を築き上げた。

 我慢して守り抜いて、8回裏には野口陸斗(3年)の本塁打で貴重な追加点を入れ、5対2で初戦を突破した箕面学園。次の試合でも粘り強く、守って勝利を掴み取り、1993年以来となるベスト8を目指す。

【 速報ページはこちら 】

■開催期間:2019年7月6~7月28日(予定)
2019年 第101回 全国高等学校野球選手権 大阪大会(三回戦まで)
■組み合わせ表【2019年 第101回全国高等学校野球選手権大会大阪大会】
■展望コラム【令和最初の大阪大会は3回戦が最も盛り上がる!今から見逃せない要注目のブロック!】

(文・=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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