名古屋市工芸vs半田
打線好調の名市工芸、満塁弾含む長打攻勢で快勝
満塁本塁打を放って、笑顔の名市工芸・菱田君
1回戦で11得点を挙げて打線好調を思わせた名古屋市工芸。この試合でも、打線の好調ぶりは続いていた。
3回に一死二塁から、1番南出君が左前打して先制し、さらに四球などで二死一二塁として、4番菱田君が右線に落とす二塁打で2者を帰してこの回3点。さらに4回にも先頭の赤堀君が左中間二塁打。遊ゴロで三塁を狙い刺され、チャンスを逸しかけたものの、その後四球もあって二死一二塁となったところで、南出君が中越二塁打してさらに2点を追加した。
さらに度肝を抜いたのは6回だった。この回から半田の後藤浩介監督は一塁手としてスタートしていた1番をつけた山下君をマウンドに送り、名古屋市工芸の攻撃封じにかかった。しかし、2四球と松井君の安打などで二死満塁としたところで、菱田君は98mの左翼スタンドに放り込む満塁本塁打で、一気に9対0とした。名古屋市工芸は各打者が、思い切りよくスイングしてきていた。しっかり捉えた打球は鋭く野手の間を抜いたり、頭上を越えて行っていた。
そして、このリードで名古屋市工芸のエース勝君はスイスイと自分のリズムで投げられていたようだった。元々は、捕手だったという勝君だが、肩甲骨が柔らかいのと指先の感覚がいいということで、名古屋市工芸の西尾智之監督が投手をやらせてみようということで、投手の練習をさせて行って、一つずつ実戦を経験して成長していっているようだ。「真面目にコツコツやっていく子です。実は、春の一次予選で初めて完投を経験したことが自信になっていたと言っていました。試合をやっていきながら成長していっています。まだまだ、やれると思います。今日も自信になっていると思います」と成長に目を細めていた。
また、好調な打線については、「予選では、あまり調子がよくなかったんですよ。だけど、空振りOKで思い切って行けと言うことを徹底したことで、当てに行って凡打になって失敗していたのが、思い切りよく振っていけるようになりました」と、言いつつも「まだ本調子ではないんです」と、まだまだ打てると言いたげだった。
満塁本塁打した菱田君は、手の甲をケガしていて、予選の時は不甲斐なくて涙していたほどだという。それを吹っ切るかのような一発だったとも言えよう。
ほとんどワンサイドでいいところがなかった半田。それでも7回、一死から新美君が四球で出ると、5番山下君が左中間三塁打して1点を返し、さらに内野ゴロの間に生還してこの回2点。何とか一矢を報いたものの、ここまで。コールドゲームを阻止するには至らなかった。
後藤監督は、「四球で走者を出してたまったところで長打を打たれるという、ウチにとっては一番よくないパターンの取られ方でした」と、肩を落としていた。それでも、「夏へ向けて、もう一度、投手を中心に整備していきます」と、切り替えて、早くも夏を見据えていく姿勢を示していた。
(文・写真=手束 仁)