鎌倉学園vs向上
延長タイブレークの死闘を制した鎌倉学園が昨年に続いての4強入り
得点を挙げる鎌倉学園
近年は上位進出が出来ていなかった向上に対して、昨年はあと一歩で甲子園出場というところまでいった鎌倉学園。同じ神奈川県の中堅校でも、近年の成績は対照的な両校の対決は、延長タイブレークまでもつれる熱戦となった。
まず先制点をあげたのは向上だった。
ヒットなどから一死一、二塁のチャンスを作ると、4番の石坂健斗がレフト前へタイムリーヒットを放ち先制点を挙げる。さらにその後も一死一、二塁とチャンスは続き、5番・中村もレフト前タイムリーで続いてこの回2得点。選抜出場校の桐蔭学園を破って勝ち上がってきた向上が、この試合でもまずは勢い見せる。
そんな向上の先発は、背番号1の松村青。向上がベスト8まで勝ち上がってきた立役者の一人であるが、桐蔭学園戦では初回に5失点を喫するなど、時折ピッチングが荒れる癖が気になる投手でもある。
130キロ台中盤を記録する力のある直球を軸に、初回を無難に抑えた松村だが、投球が乱れる悪癖がこの試合でも先制点を挙げた直後に現れた。2回表、四球などで一死満塁のピンチを招くと、9番・竹村駿一にレフト前へタイムリーヒットを浴びて1点差に迫られ、なおも満塁の場面で、1番・有馬孝太に痛恨の押し出し四球を与える。
得点は2対2となり、試合は早くも振り出しに戻った。
好投を見せた本多康二朗（鎌倉学園）
このまま点の取り合いに突入するかとも思われたが、その後は松村も本来の投球を取り戻し、試合は熾烈な投手戦へと突入していった。
1回途中からマウンドに上がった鎌倉学園の本多康二朗も、素晴らしい投球を見せる。高めのストレートとブレーキの利いたスライダーを織り交ぜた投球で、向上打線に付け入るスキを与えない。
2回以降は、両チーム共にスコアボードに「0」が並び、試合は延長戦へと入っていく。次の試合に登場する東海大相模を目当てに、[stadium]サーティーフォー保土ヶ谷球場[/stadium]には多くの高校野球ファンが詰めかけていたが、そんな観客たちもいつの間にか松村と本多の投げ合いに魅せられるようになっていく。延長12回を終えても決着は着かず、試合はタイブレークへと突入した。
決着がついたのは延長14回だった。
14回表、鎌倉学園は無死満塁と千載一遇のチャンスを作ると、1番・有馬孝太にタイムリーヒットが飛び出して、この試合で始めてリードを奪う。続く2番・磯崎翔太もセンター前タイムリーで続いて、この回2得点を挙げた鎌倉学園。14回裏の向上の攻撃も振り切って、2年連続でベスト4進出を決めた。
これで鎌倉学園は、準決勝で東海大相模と対戦することが決まった。昨年は準決勝止まりだっただけに、今年は存在感を見せていきたい。
（文＝栗崎 祐太朗）
