試合レポート

福岡大大濠vs尚志館

2019.04.20

U-15代表経験者バッテリーで強打の尚志館を投打で圧倒!

福岡大大濠vs尚志館 | 高校野球ドットコム
深浦幹也(福岡大大濠)

 福岡3位の福岡大大濠と強打を売りとする尚志館。試合は7対0と思わぬ大差で福岡大大濠がコールド勝ちを収めた。

 大勝を呼び込んだのは福岡大大濠の先発・深浦幹也(2年・175センチ76キロ・左投げ左打ち)と正捕手の星子海勢(3年・170センチ79キロ・右投げ右打ち)のバッテリーの活躍が大きいだろう。2人とも侍ジャパンU-15代表を経験した強力なバッテリーである。

 0対0で迎えた3回表、深浦が2点適時打を放つ。そして深浦は目覚ましい投球。「投手を始めたときからこういうフォームになっていました」と語る投球フォームは独特で、右肩のグラブを高々と掲げ、真っ向から振り下ろす投球フォームは小島和哉(千葉ロッテ)を彷彿させる。何より体の入れ替えがうまく、体幹を鋭く回転できるフォームは大きな可能性を感じさせる。

 そんな深浦のストレートは常時135キロ~138キロを計測。ガンによっては140キロを超えた情報もあり、確かにこれまで筆者のガンで140キロを出した左腕投手と比較しても勢いはそん色がない。回転数が高いストレートは魅力的で、自信とする125キロ前後の縦スライダーも切れが鋭い。

 受ける星子も「大会前の練習から調子が良いなと思っていたのですが、今日は今まで一番良かったですね」と大絶賛。深浦も「ストレートの走りは非常に良かったです」と手ごたえを感じていた。

 鹿児島大会で7本塁打を記録した強打の尚志館打線に対して、リードする星子は「丁寧に投げること。不用意に投げては長打になるので、そこは気を付けながら、しっかりと腕を振らせることを意識した」と、尻上がりに調子を上げていきながら、抑えていく。


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本塁打を放った星子海勢(福岡大大濠)

 その深浦を援護すべく、打撃で見せたのは星子。5回裏、特大ファールを放った後、その次のボールで捕手らしい読みを見せた。
「次はスライダーはないなと思っていたのですが、外角に山をはっていました。そしたらスライダーがきて、うまく打ち返すことができました」
 捉えた打球は左中間へ飛び込む本塁打となり、これが高校通算40本塁打となった。この打撃を振り返って星子は「八木先生からスイングが小さくなりすぎていたといわれていたので、本来の持ち味であるしっかりと弧を描いて強く振ることを心がけました」

 重心を沈め、歩幅を広く取って、遠回りせずに、強いインパクトでボールを捉えることができる選手で、打球は非常に鋭い。さらに6回裏にも、2番山城航太郎の遊撃強襲の安打、3番深浦の適時打で追加点を挙げ、そして星子は「大きな当たりを狙うのではなく、打点を挙げることを意識した」と、痛烈な左前適時打を放ち、7点目を挙げた。構えや打者のタイプはどことなく古賀悠斗を彷彿とさせる選手。星子にとって古賀の存在は憧れであり、目標だ。スローイングタイム2.00秒前後のスローイングも見逃せない。「僕は全国で活躍している東妻(智辯和歌山)君や山瀬君(星稜)のような圧倒的な強肩はないので、捕ってから投げるまでのスローイングでカバーしたいです」と自分の能力を分かった上でプレーできる点は非常にクレバーだろう。

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福重圭誇(尚志館)

 福岡大大濠の捕手は星子に限らず、歴代の捕手は快活なキャラクターをした選手が多い。古賀も明るさと思考力の高さを持った選手であった。良い部分を引き継ぎ、投手と相手打者の目線に立ってリードができる星子はしっかりと成長を見せている。

 投げては深浦が7回を投げ、11奪三振、1四死球、無失点の完封勝利を挙げ、2回戦に進出した。八木監督は「緊張感のある初戦で最も平常心で投げられる投手ということで送り出しましたが、しっかりと投げてくれたと思います」と労った。深浦は濱地真澄三浦銀二といった歴代の好投手たちに憧れ、福岡大大濠に入学。1年生からマウンドを経験してきた。甲子園で活躍する同学年の姿を目に焼き付け、レベルアップを目指してきた。夏では「彼らに負けたくないです」と意気込んだ2年生左腕はますます見逃せないだろう。

 敗れた尚志館はエースで3番の福重圭誇が2安打を打つ活躍。重心を下げ、歩幅を広く取って、フルスイングを徹底する打撃は魅力がある。投手としても7失点を喫したとはいえ、左腕のグラブを高く掲げて投げ込む縦回転のフォームから繰り出す常時130キロ~133キロの速球、120キロ前後のスライダーは中々のものがあり、ぜひさらにレベルアップを果たし、夏では投打で暴れることを期待したい。

(文・写真=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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