試合レポート

明大中野八王子vs拓大一

2019.04.04

春の嵐の荒れた試合、明大中野八王子、敵失でサヨナラ勝ち

明大中野八王子vs拓大一 | 高校野球ドットコム
明大中野八王子の先発・江口陽太

 冷たい強風が吹き、試合前に十分に水をまいたにもかかわらず、砂が舞い上がる状況で試合が行われた。

 拓大一の先発は、長身で細身の右腕・王駿尭拓大一には昨夏の西東京大会でも好投した齋藤陽太という左腕のエースがいるが、冬場に故障し、この春は投げさせない方針でいる。

 一方明大中野八王子はエースの江口陽太が先発した。江口は昨夏の西東京大会の5回戦で、4時間ゲームとなった日大鶴ヶ丘戦に先発した投手であるが、もともとコントロールが良く椙原貴文監督によれば、ふてぶてしいくらいの気持ちの強さもあるという。

 1回表明大中野八王子は、左前安打の1番・込戸翔が左前安打で出塁すると二盗に、犠打にワイルドピッチで1点を先制した。

 拓大一は2回表、四球と敵失で出た走者を7番・鈴木椋晴が二塁打で還し逆転した。2回に2点を失ったものの、明大中野八王子の江口は、前半は速球でグイグイ押し、中盤になると変化球も多く投げ、拓大一打線を封じた。

 さらに明大中野八王子は攻撃では、3回裏に無死一塁から、2番・熱田泰祐がバスターエンドランで打った打球が左翼手の頭を超える二塁打になり1点を入れた他、3番・上村涼の右前適時打などさらに1点を追加して逆転した。5回裏には敵失でためた走者を5番・阪田大樹の左前安打で2点を追加。7回裏には三塁打の4番・花岡秀太がワイルドピッチで生還し、7回を終わって6対2と明大中野八王子が4点をリードした。

 明大中野八王子の大勝のペースの試合であったが、すんなりとは終わらない。8回表拓大一は、無死一、三塁から3番・柿澤拓海がライトオーバーの二塁打を放ち2人が還ると、試合は急に緊張感を帯びてきた。明大中野八王子は好投していた江口を右翼手にして、2番手に経験が豊富な浦田光を登板させた。浦田は拓大一の4番・深澤由威斗を四球で歩かせた後、5番・持田亮は右飛には打ち取られたかに思えたが、ライトにまわっていた先発投手の江口が打球判断を誤り右前安打となって2人が生還。7番・鈴木の犠飛でついに同点に追いついた。

 勝敗の行方は、明大中野八王子は浦田、拓大一は5回から登板している安西航輝と、2番手投手が握ることになった。

 明大中野八王子は9回裏、3番・上村の四球と4番・花岡の中前安打で一死一、三塁として、打席にはリリーフ登板した浦田が立つ。浦田の打球は強い遊ゴロ。格好の併殺コースであったが、遊撃手が併殺を焦って失策をし、上村が生還して明大中野八王子が9回サヨナラ勝ちをした。

 拓大一の松井貴寛監督は、「9回に至るまでフォアボールやエラーがありました。ショートだけを責められません」と語る。秋からメンバーをかなり入れ替えて臨んだ春の戦い。本来のエース・齋藤を故障で欠く中、明大中野八王子と接戦を演じた。これから戦力が整っていく中で、どういう戦いをするのか。期待したいチームである。

 一方勝った明大中野八王子の椙原監督は、「選手に助けてもらいました。それだけです」と語った。秋は1次予選で敗退した明大中野八王子であるが、春は苦しみながらも都大会でまず1勝。2回戦は都立秋留台と対戦し、勝てば東海大菅生八王子の勝者との対戦になる。まずは目の前の試合であるが、激戦のブロックでどう成長していくか、注目される。

 

(取材=大島 裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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