名古屋南vs天白
9回無死満塁を凌いで名古屋南が、序盤のリードキープで逃げ切り
名古屋南・小出稜人君
愛知県大会の一次予選は、東西三河地区や知多地区では数校ずつのブロックに分けてリーグ戦となっている。ただ、参加校の多くこの春は東邦がセンバツ出場となっている名古屋市地区はA~Мの13ブロックに分かれて、4~5校での敗者復活性のトーナメントで競われる。2敗を喫した時点で二次大会への進出権を失う。だから、敗者復活1回戦のこの試合は敗れると、この段階で春季大会は終わり、最終目標の夏を目指すことになる。
お互い負けたくない戦いだが、先制したのは名古屋南だった。初回、失策で出た走者を二塁に置いてバントで三塁へ進めると、四球後内野ゴロ併殺崩れの間に三塁走者が帰るという形だった。まだまだ試合の序盤でもあり、天白としてもアウトを一つ増やせたわけだし、それほど大きな影響を与えるものではない失点かと思われた。ところが、これがことのほか重くのしかかったようで、力では上かと思われた天白打線が、名古屋南の先発奥平君を捉えきれない。1~3回まで、安打は出るものの単発。奥平君は粘り強いというか、走者を出しつつも上手にかわしながら堪えていた。
こうして奥平君が踏ん張る間に、名古屋南は4回、二死走者なしから四球と7番木村君の二塁打などで満塁とすると、9番村田君は少し浅く守っていた天白外野陣の虚を突くかのように左中間へ運んでこれが、走者一掃の二塁打となった。村田君も、二塁ベース上では満面の笑みを浮かべていた。
名古屋南の林康太監督はこのリードを継投で切り抜けた。先発奥平君を5回までとし、6回からはエースナンバーの1番をつけた小出君に託して天白の反撃を9回の点のみに抑えて凌ぎ切った。ことに、9回は無死満塁となり上位打線という場面になりながら、小出君は3番、4番をしっかりと押さえきった。このあたりは、一か八かというところもあろうが、小出君への信頼もあったということであろう。
天白としては5回に最も信頼のおける3番近藤君の二塁打と神谷君の犠飛で1点を帰して追い上げ、3人目の太田君が5回以降を0に抑えて流れを呼び込みつつあった。それだけに、終盤に作ったチャンスを生かし切れなかったのは痛かった。
結果的には、これで天白は春季の県大会への望みを絶たれることとなってしまった。
(文・写真=手束 仁)