習志野vs桐生第一
延長14回に及ぶ激戦!習志野の勝利を生んだ投打の軸が大活躍!
勝利を決め、ガッツポーズを決める習志野のエース・飯塚
県内2位同士の対決は歴史に残る大激戦となった。
桐生第一の先発としてマウンドに登ったのは本木康介。下級生の時からマウンドに登っていた右の本格派。右スリークォーターから投げ込む直球は常時130キロ~135キロ前後(最速137キロ)と突出としたストレートを投げる投手ではないが、90キロ台のカーブ、100キロ台のスライダーと緩急をうまく使って抑える投手だ。まず1,2回を無失点に抑えると、2回裏、桐生第一の5番久保田 駿斗(2年)が変化球をとらえ、レフトスタンドへ飛び込む本塁打で1点を先制する。久保田はややオープンスタンスで、バットを寝かせ気味にして、ヘッドの重みを利かせたスイングでボールを飛ばす右打者で、スローイングでも、タイムは2.00~2.10秒前後と決して早くないのだが、コントロールが良い選手。
しかし3回表、習志野は3番根本翔吾(2年)の中前適時打で同点に追いつく。そして5回表、9番 が四球で歩くと、投手交代。背番号1の杉山が登板する。杉山は県大会では伸びのある快速球を投げ込んでいた投手。球速は120キロ後半~137キロとスピードは本木と変わりないがボールの質は確かに良い。しり上がりに調子を挙げていき、満塁のピンチも直球1本でしのぐ。6回表も一死一、三塁のピンチも併殺でしのぐ。
6回裏、習志野は背番号1の飯塚 脩人(2年)が登板する。飯塚はデビューした春先と比べると、だいぶまとまりが出てきて、実戦力が大きく向上した。右スリークォーターから常時130キロ後半~145キロとこの時期としてかなり早い。120キロ前後のスライダーもなかなかの切れ味で、ボールの勢いとしては、1学年上の古谷拓郎より上である。コントロールも両サイドへの投げ分けがしっかりしており、高めのつり球も使える。ただ古谷と違って緩急、縦の変化を使える投手ではないので、よりストレートのアベレージを高めるか、高速の変化球を習得すると、持ち味が出るのではないだろうか。
また、桐生第一の杉山も回を重ねるごとも投球が冴え渡る。130キロ前半の速球だが、手元で伸びがあるのは、フォームが良いから。左足をじっくりと上げていき、体を沈み込ませていき、内回りのテークバックでしっかりとトップを作り、打者よりでリリースができるので、空振りが奪える。躍動感あるピッチングで、点を与えなかった。
試合は両チームのエースが踏ん張り、延長戦へ。習志野は延長11回表、無死満塁の絶好のチャンスを作るも無得点。さらにお互い一打が出ず、延長13回。この回から大会特別規定によりタイブレークへ。延長13回表、習志野は二ゴロ、一直併殺で無得点。
そして13回裏、桐生第一は代打・石垣創次郎(2年)が絶妙な犠打を決め、一死三塁のチャンスで、1番工藤ナイジェル(2年)が浅い中飛。桐生第一は勝負を仕掛けて、タッチアップ。しかしセンター・根本が好返球を見せ、ダブルプレー。これで二度目の捕殺。勝負は14回へ。14回表、一死一、二塁から7番角田 勇斗(2年)がレフトの頭を超える適時二塁打で2点の勝ち越しに成功する。そして飯塚はその裏、見事にしのいで、習志野が激戦を制し、準々決勝進出を決めた。
習志野は飯塚の9回133球の力投、センター根本の二度の捕殺に尽きるだろう。前チームから経験を積んでいる2人がしっかりと持ちこたえてくれた。来年ドラフト候補として期待される飯塚にとってはこれ以上ない経験となった。これを機にどんな成長を見せるのか、楽しみである。
敗れた桐生第一もがっぷり4つの試合展開を見せた。ピンチの場面でも粘り強い守備、杉山の力投は大きな武器である。ただ好投手への対策、走者二塁からの安打に対しての本塁への帰塁判断などいろいろな課題が見えた。それを乗り越えないと前橋育英、健大高崎の二強を破ることはできないだけに延長戦で敗れた悔しさを糧に大きな成長を見せることを期待したい。
(文・=河嶋 宗一)