世田谷学園vs成立学園

細田怜希（世田谷学園）

　かつてはセンバツ出場経験もある世田谷学園だが、近年はなかなか上位に進めないでいる。しかし世田谷学園の成瀬智監督は、「このチームは、ここ10年くらいで一番まとまりがあります」と自信をみせる。主将の石井滉太郎を中心に、チームがまとまり、力をつけているという。そしてこのチームの大黒柱になっているのが、背番号10ながら、実質的にはエースである細田怜希だ。この2人がます、攻撃面でチームに貢献する。

　2回表このの回先頭の4番の石井がレフトオーバーの二塁打を放つと、続く細田がセンターオーバーの二塁打を放ち世田谷学園が1点を先制すると、続く八木達哉の右飛で細田は三塁に進み、7番・佐々木大地が初球スクイズを決めてさらに1点を追加した。

　世田谷学園の細田は、最速は137キロほどだが、カットボール、ツーシーム、スライダー、チェンジアップなど球種も豊富。特にこの試合では、カットボールが効果的で、１、2回と成立学園打線を三者凡退に抑える。

　けれども、成立学園も甲子園出場経験があり、4年前の春季都大会で優勝した実力校だけに、簡単には引き下がらない。3回裏一死後、8番・藤田吏玖が四球で、この試合、成立学園最初の走者になると、続く9番・先発投手でもある河野尚磨が、芯を捉えた打球ではなかったが、さらに中間を破る二塁打を放ち、1点を返し、さらに2番・和田銀露の右前安打で河野も生還し、同点に追いつく。

　その後は世田谷学園の細田がカットボールなどで5回まで毎回の奪三振で成立学園打線を抑えれば、成立学園の河野も1年生ながら左腕から力のある球を投げて世田谷学園打線に得点を許さず、内外野に好プレーも出て、息詰まる投手戦の様相を呈していた。

　しかし新チームが結成されてそれほど時間が経っていない秋季大会では、実戦での守り、とりわけバント処理のミスから傷口を広げることが多い。

　7回表世田谷学園は、6番・八木が左前安打で出塁すると、暴投で二塁に進み、7番・佐々木の送りバントは内野安打になって一、三塁。さらに佐々木は二盗した後、8番・秋山颯士朗の中前安打に中継ミスもあって2人が生還する。9番・相崎飛鷹の死球の後、1番・野口敬裕のバントがまたも内野安打になって満塁となり、2番・飯田響太、3番・三村勇斗の連続中前安打で3点を追加。結局この回さらに1点を追加して一挙に6点を入れて試合を決めた。

　7回裏に成立学園は代打・白石大樹の内野安打などで1点を返したものの、世田谷学園も9回表に1点を追加して、9対3で世田谷学園が勝利した。

　成立学園は点差ほど実力の差があったわけではないが、7回に相手のバントが、内野安打になって大量失点のきっかけになったのが痛かった。それでも、1年生が多いチームだけに、今後の成長を期待したい。

　勝った世田谷学園では、9個の三振を奪った細田の好投が目立ったが、本人は「無駄なボールが多かったです」と、反省を口にした。それでも2回裏に二塁手の佐々木が好守をみせて、投球のリズムが戻ったように、チーム全体で細田を助けた。

　3回戦は国学院久我山と対戦する。このブロックは日大三が敗れ、どのチームにもチャンスがあるだけに、今後の展開が注目される。

（文＝大島 裕史）