関東一vs明大中野
関東一の土屋大和投手が2安打完封で、明大中野打線を抑え快勝
関東一バッテリー
秋季東京都大会は、いよいよここからがサバイバルゲームも本格化していく。今週末で、32校から一気に半分の16校に絞られていく戦いとなる。
試合は秋の大会らしいというか、投手主導の展開となっただけに、投手のイニングごとの出来が、そのまま結果に繋がった。
初回の攻防は、関東一の背番号10の先発土屋君はスムーズな入りで、簡単に三者凡退で退けた。そしてその裏、関東一は明大中野のエース菊地君に対して先頭の平川君が左前打するときっちりとバントで送る。さらに四球と失策もあって二死満塁となる。ここで、菊池君はやや意識して慎重になりすぎたのか、コースが微妙に外れて連続四球で2押し出し。明大中野としては痛恨の失点となった。
その後、2~6回はお互いに投手がいいリズムで投げていき、テンポの速い展開となった。関東一は4回に失策と8番堀野君の左前打に暴投などで無死二三塁の追加点機を作ったものの、ここは菊地君が凌いだ。明大中野としては、5回に二死から7番金野君が右越三塁打したものの、次が抑えられて得点はならず。これが唯一の得点機と言えば得点機だった。
こうして次の得点がどちらにどういう形で入っていくのかなと、それが試合の行方を決するのではないかと思われてきた7回。関東一は先頭の9番土屋君が右前へポテン安打すると、代打大久保君は俊足を生かしたバント安打で一二塁。渋谷君がしっかり送ると続く3番野口君が右前打して三塁走者はもちろん、二走の俊足大久保君も快走よくホームインして4対0となった。土屋君の出来からしても、大きな2点となった。
結局、土屋君は8回、0回も三者凡退で抑えてこのリードを守り切って、終わってみたら2安打完封で与四球も1。危なげのない投球だった。
関東一の米澤貴光監督も、「これくらいは投げてくれるだろうという期待はありましたけれども、その期待に応えてよく投げてくれました」と、まずは土屋君の好投を称えた。カーブでカウントを整えて、スライダーとストレートの巧みな配球で空振りを取っていくという投球は、背番号11の捕手・谷口君の好リードもあった。
この試合の関東一は背番号とポジションが合っていないという部分も多かったのだけれども、米澤監督は「複数ポジションをこなすということはやってきていますから、まだ流動的にやっていっています。秋は、試合をしながら選手たちも成長していきますし、チームとしても力が上がっていく、秋の戦い方というのもあると思います」と、春夏と何度も甲子園に導いた実績のある米澤監督は、この秋も虎視眈々と先を見据えているようだ。
明大中野も好投手菊地君は初回を除けば、ほぼ合格点という内容の投球だったのだろうが、2安打散発で、出した走者も3人だけという攻撃内容では岡本良雄監督としても手の施しようがなかったようだ。課題としては、まずは打撃力の向上ということになるであろう。
(文=手束 仁)