札幌大谷vs札幌第一
サブマリン太田流星の投打の活躍で札幌大谷が北海道の頂点!
マウンド歓喜の輪を作る札幌大谷
札幌大谷が創部10年目で初めて秋の全道の頂点に立った。
前半に4点をリードした札幌第一。それを札幌大谷は3回の1イニングで追いついた。
「準決勝も(駒大苫小牧に)4点差をひっくり返したので、このチームならひっくり返せると、諦めなかった」と主将の飯田柊哉(2年)は話す。
先頭の二番・釜萢大司(2年)のヒットを皮切りに、怒涛の6連打。札幌第一の菊池雄人監督に「大谷さんの打撃が凄かった」と言わしめた。
追いついてからは、今大会大活躍の背番号17・太田流星(2年)の舞台。3回途中からエース・西原健太(2年)の後を受け継ぐと、8回まで1点に抑える力投を見せた。とはいえ、再び札幌第一に1点をリードされた状況には変わりない。攻撃では何度もチャンスがありながら、4回から7回までは0に終わっていた。
8回、そんな1点が重い空気を変えたのは、先頭打者だった一番・飯田の四球。「信頼できる仲間がたくさんいるので、繋ごうと思って」と冷静に球を見極めた。送りバントで二塁に進み、三番・石鳥亮(2年)がレフトへ同点となる二塁打。さらに四番・西原が四球で歩くと、五番・佐藤颯馬(1年)が右中間を破る2点タイムリー二塁打を放ち、ついに勝ち越し。
そして極めつけは、六番に入っていた太田のトドメとなる2ラン。「人生初ホームランです」と本人も驚く一発で、二度目のビッグイニングを作った。
太田は9回に1点を返され、なお二死満塁のピンチを背負ったが、最後は得意のシュート気味の球で三振に打ち取った。
太田流星(札幌大谷)
試合後、ベンチに座ると過呼吸気味になった太田は医務室で治療を受けた。「座ってホッとしてしまって」と回復後に笑顔を見せたが、全てを出し尽くした力投でもあった。
178チームが参加した秋の北海道の頂点に立った札幌大谷。課題は決勝でも見られた守りのミス。船尾隆広監督は、「これから守りを中心に鍛えていきたいと思います」と11月9日から始まる明治神宮大会、そして来年を見据える。
エース・西原の復調待たれる。最速142キロ右腕は、準決勝、決勝とらしさをほとんど発揮できなかった。これには指揮官も「評価に値しない」と手厳しい。好調の打線とサブマリン・太田の力投は光ったが、課題を克服できれば、まだまだノビシロはある。
(文=松倉雄太)