明秀学園日立vs下妻二
垣入武尊の9回同点タイムリーで第3シード明秀学園日立が九死に一生。延長10回逆転で県大会初戦突破!
先発の川端(明秀学園日立)
秋季県大会は、昨年から各4地区の代表数が1枠増えて8チームとなったが今年も同様だ。地区予選を免除された夏の大会優勝校と各地区代表を合わせて33チームで県大会を行うため、いびつなやぐらになっており、1回戦は常磐大高対古河三の1試合のみ。残りの初戦は2回戦の扱いとなる。なお、シードは監督らの投票で選出された。[stadium]J:COMスタジアム土浦[/stadium]での開幕試合は第3シードの明秀学園日立と下妻二というカードだ。
先攻・明秀学園日立の先発は背番号19の右腕・川端秀悟が、後攻・下妻二の先発は背番号1の左腕・海老原 仁となった。
1回表、明秀学園日立は2番・垣入武尊(1年)がセンター前ヒットで出塁するが盗塁死。二死から3番・金山嵐のレフト前ヒットと4番・髙橋隆慶のレフト線ツーベースで二、三塁とするが、5番・南村健太は捕邪飛に倒れ先制できない。
2回裏、下妻二が集中打で先制する。先頭の4番・山口愛翔(1年)がレフト前ヒット、5番・雨海真翔(1年)がバントヒットで送って一死二、三塁から、7番・海老原がライト前タイムリーを放って1点を先制する。さらに一死一、三塁から内野ゴロの間に1点。二死二塁から9番・石島 匠望のレフト前ヒットで1点。四球を挟んで二死一、二塁から2番・小堀 幸太郎(1年)のセンター前ヒットで1点を追加する。
明秀学園日立はここで2番手に背番号10の右腕・藁谷俊を投入する。なおも二死一、二塁から3番・青木ビクター達哉がレフト前ヒットを放つが、ここは本塁憤死でこの回は4点にとどまる。
4点リードを許した明秀学園日立が4回表に反撃する。先頭の6番・木下大我(1年)が内野の送球ゴロのエラーで二進すると、7番・石井寛人(1年)のバントヒットで無死一、三塁。ここで8番・鈴木慧人がセンターにツーベースを放って1点を返す。なおも無死二、三塁から、9番・藁谷のショートゴロの間に1点。一死三塁から1番・北野凱士のライトフライが落球エラーとなり3点目を挙げる。なおも一死二塁とするが、後続は打ち取られ同点には至らない。
明秀学園日立2番手の藁谷は2回途中から8回までヒット1本に抑えて下妻二に追加点を許さない粘りや投球で打撃の援護を待つ。
1点のビハインドで迎えた9回表、明秀学園日立が追いつく。先頭の9番代打・小島大知(1年)がレフト前ヒットで出塁し、代走に辻 蒼太が送られる。その後、盗塁で一死二塁となり、2番・垣入の三塁線を破るツーベースで同点に追いつく。さらに内野ゴロと四球、盗塁で二死二、三塁の逆転のチャンスを作るが、5番途中出場・城間(しろま)魁星(1年)はライトフライに倒れ勝ち越せない。
海老原 仁(下妻二)
9回裏、明秀学園日立は3番手にレフトの守備に就いていた城間をマウンドに送るがストレートの四球を出す。続いて城間をサード、サードの髙橋がファーストにシフト変更し、ファーストの金山が4番手にマウンドに上がる。しかしまたも四球で今度はファーストの髙橋が5番手でマウンドに上がる。
下妻二としては押せ押せの絶好機。無死一、二塁から8番・岡田祥平が送りバントを試みるが、ピッチャー前のゲッツーとなりサヨナラのチャンスが潰れる。
ピンチをしのいだ明秀学園日立は勝ち越しに成功する。10回表、2つの四球と盗塁で一死一、三塁から、9番・辻がレフト前ヒットを放って1点を勝ち越す。さらに一死一、二塁から、1番・北野がライト線にツーベースを放って1点。一死二、三塁から、2番・垣入がスクイズを空振りも、捕手がボールをこぼしてホームスチールが成功。明秀学園日立がこの回3点を勝ち越す。
3点を追う下妻二だが、その裏は三者凡退で試合終了。延長10回の激闘を明秀学園日立が7対4で制した。
センバツに連続出場のかかる第3シードの明秀学園日立が土壇場で同点に追いついて九死に一生を得た。
投手陣は先発した川端が2回に捉まって4失点を喫したが、2番手に登板した藁谷がその後の火消しに成功して8回までヒット1本に抑える快投を演じた。藁谷がもう1点でもダメ押しを食らっていたら完全に試合のペースでは下妻二側に移っていただろう。
9回裏は先頭から連続四球で浮き足立ったが、代わった髙橋隆慶が見事にしのいだ。
打線はヒットが出るものの、下妻二エース海老原の100キロ台のカーブを打ちあぐねてなかなかチャンスで1本が出ずに苦しい試合展開となった。しかし9回に先頭打者の代打策が見事に的中すると、チャンスを広げて垣入武尊の同点タイムリーでチームが息を吹き返した。
下妻二は2回裏の連打で完全に主導権を握ったかに見えたが、その後打線が沈黙してしまった。完投したエース海老原 仁は最速121キロとスピードがないが、肩周りが柔軟で出どころの見づらい腕の振りからスリークオーターで独特な球筋をしている。さらに105キロ前後のスライダーを低めに集めて打ち損じを誘っていた。
下妻二は中学軟式のオール茨城や地区選抜選手、さらに筑波ボーイズなど、中学時代の有名選手がスタメンに名を連ねており、スイングや守備の動きを見る限り個々の能力は明秀学園日立に決して劣っていない。春以降も県大会で上位に浮上してくることは間違いないだろう。
(文・写真=伊達 康)