試合レポート

大阪桐蔭vs浦和学院

2018.08.19

ここまで無失点の浦和学院を大阪桐蔭が打ち砕く!

 今大会の大きなテーマは「どこが大阪桐蔭の進撃をストップさせるか」。初戦が終わって
 
「ストップ・ザ・桐蔭」の候補の1つに挙げたのが浦和学院だった。ドラフト上位候補の渡邉勇太朗(3年)が絶対エースであることは間違いないが、南埼玉大会で10イニング以上投げている投手が渡邉以外にも2人いる。登板過多で大阪桐蔭と対戦したときはよれよれ、という状態が避けられる、それが浦和学院を対抗馬の1つに挙げた理由だった。

 しかし渡邉は2日前の二松学舎大付戦に先発し、5安打完封してしまった。2日前のストレートの最速が149キロだったのに対して、この日は148キロ。マイナス1キロ分くらいの疲労残りはあったと言っていいだろう。

 投球内容は悪くはなかった。ストレートには勢いがあり、スライダー、カーブ、ツーシームなどの変化球にはスピードとともに変化にもバリエーションがあり、大阪桐蔭の強力打線でも簡単に攻略されないキレがあった。

 投球以外でも3回表の無死一塁の場面で見せたバント処理が見事だった。大阪桐蔭の1番宮﨑仁斗(3年)の送りバントが一塁側ファールゾーンへの小フライになり、これを桑田真澄(元巨人など)ばりのスライディングを敢行して見事にキャッチしてしまったのだ。こういうプレーを見ると疲労残りがどうとか言うのがバカらしくなる。

 それでも2、3、5回に1点ずつ献上し、6回には四球で出した走者をバントで送られたところで投手交代が告げられた。大量点を入れられる前の渡邉の降板を浦和学院の敗因の1つに挙げている友人がいたが、前のイニングから投げ終わったあとに体勢を崩す場面が何度かあり、もう限界だと思った。やはり、大阪桐蔭の各打者が凄かったのである。

 2回には1死走者なしの場面で5番根尾昂(3年)が140キロのストレートを左中間スタンドに放り込んで先制。3回には1死満塁で4番藤原恭大(3年)が一塁方向にゴロを打ち、これを一塁到達4.06秒の俊足で内野安打とし2点目を入れた。根尾のホームランが左翼方向だったため、ライト方向に強い打球を打てない技術的欠陥を指摘する声もあるが、この試合に関しては根尾の放ったホームランがチームの勢いになったことは間違いない。

 5回には渡邉の投じた143キロのストレートを今度は藤原がライトスタンドに運んで3点目、5回には渡邉と浦和学院の2番手投手から3つの四死球に3安打を連ねて5点を加え、3番手にも襲いかかって6点目を入れて試合を決した。根尾と藤原のアベックホームランは2回戦の沖学園戦以来で、藤原は8回にもセンターバックスクリーンへこの日2本目のホームランを放った。高岡商戦で左腕・山田龍聖に2三振を喫した鬱憤を2日後に晴らした格好になった。

 大阪桐蔭のピッチャーで注目したのはリリーフした柿木蓮(3年)。作新学院戦で完投したあと沖学園、高岡商戦でリリーフを任され、沖学園戦ではストレートが自己最速の151キロを計測。イニングが短いためか、先発のときと違い存分に腕を振って打者を圧倒する柿木を初めて見た。プロ野球界は日本人の抑えが少なく、外国人の寡占状態にあると言っていい。この2戦はプロに対していいアピールになった。

 

(記事=小関 順二

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.27

【京都】龍谷大平安、京都成章、北嵯峨などが2次戦進出戦に挑む<春季大会>

2024.04.27

横浜に入学した「スーパー1年生5人衆」に注目せよ! 佐々木朗希二世、中学日本代表の二刀流など明日の慶應戦で活躍なるか!?

2024.04.27

【大阪】3回戦は28日に大阪桐蔭、履正社が登場、29日には上宮-関西創価など<春季大会>

2024.04.27

【滋賀】シードの滋賀学園、彦根総合が登場<春季県大会>

2024.04.27

【神奈川】昨年夏決勝カードの再現、慶應義塾-横浜など準々決勝が熱い<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.22

【九州】神村学園、明豊のセンバツ組が勝利、佐賀北は春日に競り勝つ<春季地区大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!