試合レポート

大阪桐蔭vs高岡商

2018.08.16

大阪桐蔭・中川卓也が逆転のタイムリー!

大阪桐蔭vs高岡商 | 高校野球ドットコム

 第100回全国高校野球選手権大会の12日目。第4試合は2回戦で藤原 恭大(3年)、根尾 昂(3年)がアベックホームランを放った大阪桐蔭(北大阪)と、エース左腕・山田 龍聖(3年)の好投で2戦連続、接戦を勝ち上がってきた高岡商(富山)が対戦した。

 優勝した14年以来の8強入りを狙う大阪桐蔭と、中等学校野球大会時代の47年から実に71年ぶりのベスト8を目指す高岡商の一戦。

 大阪桐蔭の先発は今大会初登板となる左腕の横川 凱(3年)。初回は3者凡退に抑えたが、2回表。4番の筏 秀生(3年)にストレートを左中間へ弾き返されると、左翼手がジャッグルしている間に二塁へ進まれる。ここで突然、コントロールを乱してしまった横川は2者連続フォアボールで満塁とし、8番・田嶋 怜(3年)の2球目にはデッドボール。押し出しで先制点を奪われてしまった。

 高岡商の先発・山田はその裏。先頭の根尾に四球を与えたが、6番・石川 瑞貴(3年)はインコースのスライダーでタイミングを外して見送り三振。山田 健太(3年)はインローにストレートをズバッと投げ込み、やはり見送り三振。小泉 航平(3年)は143キロのアウトローのストレートで空振り三振と、3連続三振でピンチを未然に防いだ。

 だが、3回裏は一死から右前打で出塁した宮崎 仁斗(3年)に盗塁を決められると青地 斗舞(3年)は四球で一二塁。そして、中川 卓也(3年)には左中間を深々と破る2点適時二塁打を打たれて1対2と逆転されてしまう。それでも、続く藤原はアウトコースのスライダーで3球三振。根尾もやはりスライダーで空振り三振と、気迫の投球で追加点は許さなかった。

 山田の奮投に応えたい高岡商は5回表、山田が自らレフト前ヒットで出塁すると、1番・森田 朝陽(2年)の投ゴロを横川が二塁へ高投して無死一二塁。絶好のチャンスをもらったのだが、鞍田 新(3年)はスリーバント失敗。中村 昂央(3年)もバントを決められず強攻に出てセカンドゴロ。4番の筏もアウトコースのスライダーでショートゴロに打ち取られてしまい無得点に終わってしまった。

 逆に6回裏の大阪桐蔭は根尾がライト線二塁打を放つと、7番・山田 健太(3年)は甘く入ったストレートを振り抜きレフトオーバーの適時二塁打。高岡商を突き放すと、終盤は6回から登板した柿木 蓮(3年)が危なげないピッチング。9回表は先頭の堀 裕貴(2年)にヒットを打たれるが、井林 泰雅(2年)をフォークで空振り三振。その後、捕逸で二塁に走者を背負うものの、田嶋はスライダーで空振り三振。そして、昨年はまさに3回戦で9回2アウトを取ったこの場面からまさかの逆転負けを喫したが、主将の中川が内野陣をマウンドに集めて気持ちを入れ直すと、最後は柿木が代打・木田圭祐(3年)をインローのスライダーで三振に仕留めてゲームセット。大阪桐蔭が3対1で高岡商を下し、ベスト8進出を決めた。

 大阪桐蔭の先発・横川は制球を乱す場面もあったが5回を1失点とまずまずの内容。130キロ中盤~後半のストレートとスライダーをアウトコースや低めに集めて9三振を奪った。また、1打席目にストレートを打たれた4番の筏に対し、2打席目以降はストレートを見せ球にスライダーで勝負して抑えるなど工夫も見せていた。2番手の柿木は4イニングを投げて2安打無失点。三振も5個奪うなど、ストレートは力強く、スライダーとフォークも空振りを奪える切れがあり、堂々たるピッチングで安定感があった。打線は走者を置いた場面で効果的に長打が出るなどパワーと勝負強さが目立ち、トップバッターの宮崎は2安打1四球で2盗塁と気を吐いた。

 高岡商の山田はインコースを大胆に突き、両サイドと緩急を上手く使った投球で5回までに10奪三振。4番の藤原からは2三振を奪うなど、大阪桐蔭の強力打線に対しても一歩も引かないピッチングは見事だった。ただ、打線は5安打に抑えられ三振は14個と、低めの変化球に手を出す場面が目についた。また、5回の同点機を逃したのが最後まで響いたが、バントのミスが絡んでいただけに悔いが残る。

 春夏連覇へ向けて順調に勝ち上がっている大阪桐蔭。注目の準々決勝は大会14日目の第1試合で浦和学院(南埼玉)と対戦する。

(記事=大平 明

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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