花咲徳栄vs鳴門
花咲徳栄、8回に大逆転!逃げ切りに成功し、2回戦進出!
花咲徳栄にとってやりづらい相手だ。鳴門は2016年はベスト16と全国舞台でも活躍を見せている。
序盤は鳴門ペース。花咲徳栄の野村佑希は185センチの長身を生かし、常時130キロ後半(141キロ)のストレートと120キロ中盤の縦スライダーを武器に、打者2人を打ち取ったが、3番・宮崎龍河(2年)の二塁打、4番・三浦光翔(3年)の中前適時打で1点を先制。なおも二死二塁から1点を追加。
花咲徳栄は二死から7番井上朋也(1年)の二塁打、8番新井英一(3年)の左前適時打で1点を返すが、2回裏、鳴門は連続四球で一死一、二塁のチャンスを作る。鳴門打線は野村に対して、低めのスライダーを捨てて、ベルトよりのストレートを狙い定めた。バッテリーミスで一死二、三塁のチャンスで1番塩唐松 宏将(2年)の二ゴロで1点を返し、2番大下竜輝(3年)の適時打で4点目を入れた。
だが花咲徳栄は4回表、4番野村は9球目のスライダーを捉えて、レフトスタンドへ甲子園第3号。ファールで粘った末、打った本塁打は大きな価値があるものだった。
しかし鳴門の先発・西野 知輝(2年)をなかなか打ち崩せない。走者がいなくてもセットポジションから始動し、右腕のグラブを高く掲げて、コンパクトなテークバックから一気に振り下ろす投球フォームは、どことなく、河野竜生(JR西日本)を思い出させる投手だ。
ストレートは常時130キロ前半(最速135キロ)と決して速くない。120キロ前後のスライダー、120キロ前後のスプリット、カーブを低めに集める。変化球の割合が多く、いずれもボール付近に集まるので、フルスイングができない。花咲徳栄の打者はタイミングが取れず、凡打になる打球を繰り返した。
このままいくかと思われたが、8回表、ついに西野を捉える。二死一、二塁から6番倉持 賢汰(3年)が外角を打ち返し、右前適時打を放ち、1点を返す。なおも二死一、二塁から7番井上が外角ストレートをおっつけてライトへ適時二塁打を放ち、二者生還し、ついに逆転に成功。今年、花咲徳栄は春季関東大会・専大松戸戦で、8回表に大逆転した試合があったが、その試合を思い出させる逆転劇だ。さらに9回表には無死満塁から3番・韮沢雄也の犠飛で1点を追加し、さらに4番野村佑希の中越えの適時二塁打で、8対4と4点差に広げた。
その裏、野村は1点を失ったが、最後は見逃し三振に打ち取り、苦戦を制し、2回戦進出を決めた。
<p. 連覇の重圧。かなりあったと思う。花咲徳栄の打者の狙いを見ると、狙い球が絞り切れておらず、なかなか苦しんでいた。ようやく右方向への意識が出たことで最後までボールを見れるようになり、的確にボールを捉える形ができていた。
ただ野村のピッチングを見ると2回戦以降は、野村以外の投手陣が踏ん張らないと厳しい状況。関東大会では野村が投げないと厳しい布陣だと感じたが、今は野村に全負担をかける形になっており、打撃面でも動作に崩れが見える。
今年の花咲徳栄がチームとして成長するには、野村に頼りすぎず、投手陣、打者陣が力を発揮すること。打者は底力を見せたが、今度は投手陣が応える番だ。
(記事=河嶋宗一)