前橋育英vs近大附
好投手を打ち崩し見事試合を制した前橋育英!
近大附の先発マウンドに上がったのは中学時代に日本代表に選ばれ、1年時からエース番号をつけた大石晨慈。三遊間の打球でも軽快に捌けるショート・道正陸人や守りの堅いセカンド・川瀬剛志らをバックに守備力が持ち味だ。
そんな南大阪の伝統校に対し、前橋育英は2回に二死から丸山大河が四球を選び出塁すると、剣持京右がライト線へ適時二塁打を放ち先制に成功する。エース・恩田慧吾はその裏に連続四球で無死一、二塁とするが、ファースト・橋本健汰のチャージがよく効いてバント処理で二塁走者を三塁で刺し、恩田は後続にも安打を許さない。4回には小池悠平の安打から一死三塁とし丸山の適時打で加点した。
近大附の大石は5回までに奪った15個の内、12個が内野ゴロによるもの。低めを突く投球で試合を作り、6回は2三振を奪い初回以来の三者凡退に抑える。エース左腕を援護したい打線はその裏、1番から始まった好打順の攻撃で川瀬が相手の失策で出塁する。
流れが変わりそうなイニングを迎えたがマウンド上の恩田は冷静だった。ボールを長く持ってセットポジションの間合いを変え、一塁走者が飛び出すと挟殺プレーに持ち込み無死の走者を殺す。2番・花田大晟は三振に仕留め、3番・山本大輝にこの日2本目の安打を浴びたが4番・高倉龍侑はレフトフライ。近大附にホームを踏ませなかった。
大石はチームを鼓舞するかのように後半にかけてギアを上げ、7回は三者三振。6回からの連続奪三振を5個に伸ばすと8、9回にも三振を奪い、4イニングで7奪三振。5回以降は許した走者は死球による1人だけ。8回の打席では自ら安打を放ち西川晋太郎の送りバントで二塁に進むと、川瀬のレフト前への安打で三塁ランナーコーチは思い切って腕を回し一気にホームを狙う。大石が三塁を蹴ったのはレフトが捕球した後、まだ一死で上位打線での攻撃が続くことを考えてもギャンブルする場面ではなかったが、好送球に阻まれタッチアウト。大きなチャンスを逃すと、9回もクリーンアップが三者凡退に打ち取られてしまう。
互いに何度も好守備が見られ非常に引き締まった試合は、恩田が完封勝利を収めた前橋育英が逃げ切った。
(記事=小中翔太)